NGC40(惑星状星雲、ケフェウス座)
撮影日時 | 2017年9月2日 |
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撮影機材 | セレストロン EdgeHD800(D203mm, f2032mm)、ビクセン SXP赤道儀 |
使用カメラ | Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3 |
ガイド鏡 | セレストロン オフアキシスガイダー使用 |
オートガイダー | StarlightXpress Lodestar |
感度・露出時間 | ISO800、30秒×64コマ |
備考 | IDAS/SEO LPS-P2-FFフィルター使用 |
ケフェウス座にある惑星状星雲です。アマチュアの観測に適した天体を集めた「カルドウェルカタログ」にも「Caldwell 2」として収載されている天体です。
目を引くのはその真っ赤な色で、青緑色に輝くものが多い惑星状星雲の中では文字通り異色の存在です。海外では、これを真っ赤な蝶ネクタイに見立てた「Bow tie nebula」の愛称で呼ばれています。
この赤い色は、星雲が主に水素由来のHα線で輝いているためです。一般的な惑星状星雲では酸素由来のOIII(青緑色)が強いのですが、この星雲では目立ちません。これにはおそらく、この星雲を輝かせている中心星の性質が大きいと思われます。
NGC40の中心星のスペクトルを取ると、周囲の星雲とは対照的に水素由来の輝線がほとんど見られません。これは太陽の40倍以上の質量を持つ星の終末期の姿である「ウォルフ・ライエ星」(WR星)という天体の特徴です。恒星は、その寿命の終わりごろになると大きく膨れ上がって赤色巨星となりますが、質量の大きい星の場合、中心部の核融合が激しいために水素に富んだ外層が吹き飛ばされ、きわめて温度の高い「星の芯」がむき出しになった状態になります。これがWR星で、NGC40の場合、吹き飛ばされた水素が中心星からの高エネルギーを受けて輝いているわけです。
視直径は同じカルドウェル天体であるキャッツアイ星雲(視直径20秒)やまばたき星雲(視直径36秒)に比べると大きく(1.23分)、そのせいもあってか単位面積当たりの明るさはやや控えめです。その分、今回はコマ当たりの露出時間をやや長めに取っています。微細構造を浮き上がらせるつもりであれば、もっと短い露出時間の方が良いかもしれません。
オリジナル画像
コンポジット&処理前の画像です。都心からでも姿を映すのは容易。淡い部分が沈んでいる分、より「蝶ネクタイ」っぽく見える気がします。