カリフォルニア星雲 NGC1499(散光星雲、ペルセウス座)
撮影日時 | 2024年11月3日 |
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撮影機材 | ミニボーグ55FL+レデューサー0.8×DGQ55(D55mm, f200mm)、ビクセン SXP赤道儀 |
使用カメラ | ZWO ASI2600MC Pro |
ガイド鏡 | ペンシルボーグ(D25mm, f175mm) |
オートガイダー | ZWO ASI120MM |
感度・露出時間 | -10℃, Gain=100, 露出300秒×16コマ(カラー)+Gain=300, 300秒×66コマ(ナロー) |
備考 | IDAS LPS-D1 & Optolong L-Ultimate使用 |
ペルセウス座にある大型の散光星雲です。すぐ南側(写真中央付近)に見える4等星、ペルセウス座ξ星の放射により星間の水素ガスが励起され輝いているもので、銀塩写真の頃から人気のある被写体です。主に、人間の目には感じにくいHα線(波長656.3nm)で輝いているため、肉眼でその姿を捉えるのは困難ですが、写真には比較的よく写ります。
とはいえ淡いのは確かで、2016年1月、12月、2019年の過去3度、天文改造デジカメを用いて撮影していますが、比較的明るい星雲中心部しか写せませんでした。
そこで今回は、OIII線とHα線のみを通すデュアルナローバンドフィルター「L-Ultimate」を用いて撮影してみました。ただ、このフィルターだけだと恒星の写りが猛烈に悪くなる上、星の色もおかしくなりがちなので、別途、通常の光害カットフィルターである「LPS-D1」を用いて恒星のみ撮影し、最後に合成を行っています。
結果、カリフォルニア星雲のいわゆる「カリフォルニア」っぽい所だけではなく、その先の淡い領域や周辺の分子雲までしっかりと写ってくれました。「カリフォルニア」部分は色がやや白っぽいですが、これはおそらく、このあたりに赤いHαに加え青緑色のOIIIの成分が比較的多いためでしょう。
この星雲を光らせているのは、上にも書いた通り、写真中央付近に見えるペルセウス座ξ星で、太陽の約30倍の質量を持ち、表面温度約35000度、明るさは可視光の範囲で太陽の12700倍、紫外線まで含めると太陽の263000倍という、極めて活発な青色巨星です。この星は元々、ペルセウス座ζ星付近を中心とする「ペルセウス座OB2アソシエーション」という星団の一員なのですが、近接した恒星の超新星爆発など何らかの原因で星団を飛び出し、現在も猛スピードで宇宙空間を飛び続けています。
カリフォルニア星雲は、たまたまこの領域にあった分子雲がペルセウス座ξ星からの強烈な放射を受けて輝いているもので、この星雲の広がり方を見るとその仕組みが納得できます。また、ペルセウス座ξ星が飛び去ってしまえば、この星雲もいずれ輝きを失ってしまうでしょう。
オリジナル画像
LPS-D1フィルターを用いて撮影した、コンポジット&処理前の画像およびレベル調整のみ行った画像です。強調を行った後でも星雲はかすかにしか見えず、かなり淡いのがよく分かります。
こちらはL-Ultimateフィルターを用いて撮影した、コンポジット&処理前の画像およびレベル調整のみ行った画像です。デュアルナローバンドフィルターを通せば、都心の激しい光害の中でも星雲の姿が一気に際立ってきます。