光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

くらげ星雲 IC443 & Sh2-249(超新星残骸&散光星雲、ふたご座)

撮影日時 2022年12月25日
撮影機材 ミニボーグ60ED+マルチフラットナー1.08×DG(D60mm, f378mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ ZWO ASI2600MC Pro
ガイド鏡 ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 -20℃, Gain=150, 露出300秒×38コマ(カラー)+Gain=200, 300秒×45コマ(ナロー)
備考 IDAS LPS-D1 & NebulaBooster NB1使用

写真右下にあるIC443はふたご座の足元にある大きく淡い超新星残骸で、その姿がクラゲによく似ていることから「くらげ星雲(Jerryfish nebula)」という愛称があります。およそ3000~3万年前に起こった超新星爆発の残骸と言われていて、くらげの「傘」に当たる部分には網状星雲を思わせる繊細な構造が見て取れます。

一方、IC443と接するようにごく淡い散光星雲が広がっていて、こちらは銀河系内のHII領域をまとめた「シャープレスカタログ」においてSh2-249とナンバリングされています(ちなみにIC443はSh12-248)。「ふたご座分子雲複合体 OB1」(Gem OB1)と呼ばれる星形成領域の一部と考えられていて、一説にはIC443もこの分子雲複合体と関連していると言われています。

なお、Sh2-249を「IC444」として紹介している資料がありますが、IC444についてはその正体がハッキリしていません。カタログに記載されている場所には、該当するるような天体(観測記録には"nebula, a star of 9.5th magnitude involved"とあります)は存在しないのです。この番号は、基本的に使わない方が良いでしょう。

その他の天体は以下のような感じ。様々な天体が集まって、にぎやかな領域です。

IC443周辺の天体
IC443周辺の天体
vdBはカナダの天文学者シドニー・ファン・デン・べルグ(Sidney van den Bergh)が1966年に発表した反射星雲のカタログ、Cedはスウェーデンの天文学者スヴェン・セダーブラッド(Sven Cederbrad)が1946年に発表した散光星雲・反射星雲のカタログ、Crはスウェーデンの天文学者ペール・コリンダー(Per Collinder)が発表した散開星団のカタログをそれぞれ示します。ちなみに、ふたご座η星とμ星はたまたま同じ方向に見えているだけで、「ふたご座分子雲複合体 OB1」とは関係ありません。

「くらげ星雲」ことIC443は比較的知名度はある方ながら、かなり淡く捉えにくい天体です。過去、「デュアルセミナローバンドフィルター」とでもいうべきNebulaBooster NB1フィルターと、天文改造デジカメとの組み合わせで狙ったことがありますが、写りはそれでも悪く、画像処理にかなり無理が来ていました。今回はフィルターこそ同じものの、冷却CMOSカメラを使用することでIC443のみならず、さらに淡いSh2-249まで合わせて捉えることを試みました。

また、この領域にはvdB75のような反射星雲もありますが、反射星雲は連続スペクトルで輝くため、ナローバンド系のフィルターは撮影に不向きです。また、星像の色や大きさについてもナローバンド系は不利になりがちです。そこで、上記のNB1と併せ、従来型の光害カットフィルターであるLPS-D1を用いても撮影し、これらを比較明で合成して星雲の表現を充実させました。

また、StarNet++ v2を用いて星と星雲とを分離する一方、星についてはLPS-D1で撮影したものを星の色に注意して処理し、ここから星だけをStarNet++ v2で抽出。これを前記のように分離した星雲と再合成しています。

結果として、期待以上にカラフルな仕上がりになりました。IC443を北西~南東(右上~左下)に横切る暗黒帯もよく分かります。東京都心からこれだけ撮れれば十分でしょう。

オリジナル画像

LPS-D1フィルターを用いて撮影した、コンポジット&処理前の画像およびレベル調整のみ行った画像です。レベル調整するとくらげの「傘」の部分だけギリギリ浮かび上がってきますが、かなり頼りない写りです。

こちらはNB1フィルターを用いて撮影した、コンポジット&処理前の画像およびレベル調整のみ行った画像です。さすがはセミナローバンド、レベル調整後はSh2-249もうっすら見えています。

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