光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

Abell 33(惑星状星雲、うみへび座)

撮影日時 2023年2月17日
撮影機材 セレストロン EdgeHD 800(D203mm, f2032mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ ZWO ASI2600MC Pro
ガイド鏡 セレストロン オフアキシスガイダー使用
オートガイダー StarlightXpress Lodestar
感度・露出時間 -20℃, Gain=200, 露出300秒×24コマ(カラー)+Gain=400, 300秒×48コマ(ナロー)
備考 IDAS LPS-D1 & Optolong L-Ultimate使用

Abell 33は、アメリカの天文学者ジョージ・エイベル(George Ogden Abell, 1927~1983)が、パロマー天文台スカイサーベイ(Palomar Observatory Sky Survey, POSS)で得られたデータを基にまとめた惑星状星雲のリストに掲載されている惑星状星雲です。うみへび座のα星アルファルドの6度ほど北に位置します。チェコの天文学者ルボシュ・ペレク(Luboš Perek, 1919~)とルボシュ・コホーテク(Luboš Kohoutek, 1935~)がまとめた惑星状星雲のリストにも掲載されていて、PK238+34.1という名称でも知られています。手前にあるHD 83535という7等星と絶妙な位置で重なっていて、しばしば「天空のダイヤモンドリング」に例えられる美しい天体です。惑星状星雲は複雑な内部構造を持つものが多いのですが、この星雲はほぼ完全な円形で、これほどきれいに丸いのは比較的珍しい類です。

Abell 33の位置
Abell 33の位置(ステラナビゲータ11を用いて作成)

視直径は4.5分ほどもあって、惑星状星雲としては大型の部類。カタログ上の明るさは13等と、ちょうどドッグボーン星雲と同程度ですが、ほぼ恒星状の同星雲と違って大きく広がっているため、その淡さはまるで比べ物になりません。

この天体は2年前に天文改造デジカメで、1年前に冷却CMOSで撮影しているのですが、なにしろ非常に淡い上に、青っぽい天体はそもそも光害の影響を受けやすく、かろうじて存在が分かる証拠写真レベルのものを撮るのが精一杯でした。

今回はフィルターとして、高性能のデュアルバンドフィルターであるL-Ultimateを使うことで、ようやくまともに星雲の姿を写し取ることができました。ちなみに、星雲の色がかなり緑によっていますが、ASI2600MC Proの感度は、OIII付近で緑の方が青より2倍ほど高いので、多分これで合っています。ダイヤモンドリングというよりマリモっぽく見えてしまうのが難ですが……。

オリジナル画像

LPS-D1フィルターを用いて撮影した、コンポジット&処理前の画像およびレベル調整のみ行った画像です。極めて淡い対象だけに、レベル調整してもほとんど何も見えてきません。

こちらはL-Ultimateフィルターを用いて撮影した、コンポジット&処理前の画像およびレベル調整のみ行った画像です。ここでようやく、画像中心部に淡い円形の星雲らしきものがあるのが見えてきます。それでも相当な淡さで、ここから星雲を炙り出すのは苦労します。

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