光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

木星状星雲 NGC3242(惑星状星雲、うみへび座)

撮影日時 2019年3月8日
撮影機材 セレストロン EdgeHD 800(D203mm, f2032mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3
感度・露出時間 ISO800、10秒×320コマ
備考 ガイドなし、IDAS NebulaBooster NB1フィルター使用、中心部をトリミング

東西に長いうみへび座の、胴体の真ん中付近にある惑星状星雲です。小望遠鏡でも観察しやすい天体を収めた「カルドウェルカタログ」にも収載されていて、C59のナンバーが振られています。

「木星状星雲」という愛称は、この天体を見たイギリスの天文学者ウィリアム・ヘンリー・スミス(William Henry Smyth)が「大きさといい、色といい、見え方といい、木星そっくりだ」(From its size, equable light, and colour, this fine object resembles Jupiter)と感想を述べたところからきています。とはいえ、視直径(木星状星雲のサイズは40秒×35秒。衝の時の木星が視直径約44秒なので、ほぼ同サイズです)はともかく、色は酸素原子由来の青緑色が強くて木星とは似ても似つきません。「土星状星雲」の方は形自体がいかにもそれっぽくて、まだ分かるのですが……(^^;

この写真では、これまで撮った惑星状星雲の写真と同様、1コマあたりの露出を10秒に抑えて多数枚撮影し、これをコンポジットした後にRegistax6でウェーブレット処理をするという、惑星写真と同じような処理方法をとっています。NGCナンバーのついた惑星状星雲は明るくて写りやすいものが多く、この方法なら今回のようにガイドなしの赤道儀任せでも撮れますので、天体が非常に小さいということを除けば、初心者や都心に住む人に最適な撮影対象ではないかと思います。

この写真では、中心星から放出されたガスがまるで目玉のような濃淡を描いているのがよく分かります。雰囲気は、はくちょう座の「まばたき星雲」ことNGC6826にそっくりです。濃淡模様が一部飽和しているところを見るに、もっと露出を切り詰めて細部をあぶり出すこともできたかもしれません。

オリジナル画像

カメラで撮ったままの画像です。惑星状星雲のご多分に漏れず、単位面積当たりの明るさが大きいので、わずか10秒の露出でも青緑色の姿が容易に写りました。ただ、見かけの大きさが小さいため、焦点距離2000mmの望遠鏡で撮影してもこんなサイズでしか写りません。

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