干潟星雲 M8と三裂星雲 M20、M21(M8, M20: 散光星雲、M21: 散開星団、いて座)
撮影日時 | 2015年8月9日 |
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撮影機材 | ミニボーグ60ED+マルチフラットナー1.08×DG(D60mm, f378mm)、ビクセン SXP赤道儀 |
使用カメラ | Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3 |
ガイド鏡 | ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm) |
オートガイダー | ZWO ASI120MM |
感度・露出時間 | ISO1600、120秒×32コマ |
備考 | IDAS/SEO LPS-P2-FFフィルター使用 |
いて座付近の天の川のあたりはちょうど銀河の中心方向で、多くの天体が集まりにぎやかなところですが、この写真の範囲にはメシエ天体が3つ同時に写っています。写真下側の散光星雲「干潟星雲」ことM8、写真中央やや右寄りの散光星雲「三裂星雲」ことM20、そしてそのM20の左上に見える散開星団M21です。
M21は見かけの大きさが小さく、明るい星もあまりない地味な星団ですが、それでも双眼鏡を使えば比較的簡単に見えます。肉眼では、少なくとも散光星雲のM20よりずっと見やすいのは確かです。ちなみにこのM21ですが、たまたまM8やM20と同じ方向に見えるだけで、実際には奥行き方向に1000光年ほどの差があります。
この方向は、M8とM20について以前撮影していますが、焦点距離の関係で構図が窮屈だったこと、当時はフラット補正を行っていなかったため背景の色カブリが気になることなど、不満点もいくつかありました。そこで、ED103S+レデューサーの組合せ(焦点距離533mm)より焦点距離の短いミニボーグ60ED+マルチフラットナー1.08×DG(焦点距離378mm)を用い、もう少し広い範囲を収めたうえで、フラット補正もまじめにやってどこまでできるか試してみました。
結果として、真夏の東京都心で低空の対象を撮ったにしては、まずまずいい線まで行ったのではないかという気がしています。撮影時のカメラのセンサー温度は41℃に達していてノイズ面で不利な上、かなりの強調処理を行っているので相応に荒れてはいますが、背景の天の川や暗黒星雲もちゃんと分かります。
ちなみに、写真の左下隅に茶色っぽい星の固まりが見えますが、これはNGC6544という球状星団で、16600光年のかなたにある天体です。
なお、マルチフラットナーは今回初投入だったのですが、四隅の星が流れることはほとんどなく、少なくともAPS-Cで撮る限り十分に補正されている印象です。また、周辺減光も少なく、フラット補正が簡単だったのもありがたいところです。