干潟星雲 M8と三裂星雲 M20(散光星雲、いて座)
撮影日時 | 2012年5月19日 |
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撮影機材 | ビクセン ED103S+レデューサーED(D103mm, f533mm)、ビクセン SXD赤道儀 |
使用カメラ | Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3 |
ガイド鏡 | アトム ガイドスコープ(D60mm, f540mm) |
オートガイダー | StarlightXpress Lodestar改 |
感度・露出時間 | ISO400、120秒×8コマ |
備考 | IDAS/SEO LPS-P2-FFフィルター使用 |
どちらも、いて座にある有名な散光星雲です。
M8(写真下側)は満月以上の広がりを持つ大型の散光星雲で、星雲の中を横切る暗黒帯の複雑な模様が、水が引いたあとの干潟のように見えることから「干潟星雲」という愛称がついています。NGC6530という明るい散開星団が重なっているので、非常ににぎやかな印象です。南中しても30度くらいまでしか高度があがらないので光害の影響を受けやすいのですが、都心でも双眼鏡や小望遠鏡を使えば存在を確認できるくらい明るい星雲です。
M20(写真上側)はM8よりずっと小さく淡い星雲ですが、こちらはそのユニークな姿で有名です。手前の暗黒星雲によって3つに引き裂かれたように見えることから、イギリスの天文学者ハーシェルによって「三裂星雲」と名づけられました。
この写真は、天体撮影用の改造カメラであるEOS Kiss X5 SEO-SP3を入手して最初に撮影したものです。一般のカメラには撮像素子の前面に赤外線をカットするフィルター(IRカットフィルター)が取り付けられていますが、このフィルターは散光星雲が発する赤い光(Hα線)も大幅にカットしてしまうので、そのままでは散光星雲の写りが大変悪くなってしまいます。そこで、散光星雲を狙う目的でIRカットフィルターを除去する改造がしばしば行われます。この手の改造はいくつかの業者が行っていますが、「SEO-SP3」はまさにそうした改造の1つで、性能などの面で評価の高いものです。
実際、赤い星雲が予想以上によく写りました。同時に初投入となった光害カットフィルター(IDAS/SEO LPS-P2-FF)の威力もあるのでしょうけど、最微等級が2等星程度という劣悪極まりない環境下でここまで写ってくれると嬉しくなってしまいます。
ただ、改造に伴って撮像素子のクリーニング機構も取り去られてしまうので、こまめな掃除は必須。この写真でも、トーン修正で目立たなくなってはいますが、ゴミがいくつか写りこんでいます。また、高度が低い分、光害によるカブリもひどく、かなり無理やりな画像処理が必要になってしまいました(しかも、それでもカブリが取りきれていません)。フラット補正をまじめにやった方がよさそうです。