M52とバブル星雲 NGC7635(M52: 散開星団、NGC7635: 散光星雲、カシオペヤ座)
撮影日時 | 2021年8月19日 |
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撮影機材 | ビクセン ED103S+SDフラットナーHD(D103mm, f811mm)、ビクセン SXP赤道儀 |
使用カメラ | ZWO ASI2600MC Pro |
ガイド鏡 | ペンシルボーグ(D25mm, f175mm) |
オートガイダー | ZWO ASI120MM |
感度・露出時間 | 0℃, Gain=100, 露出900秒×6コマ |
備考 | IDAS LPS-D1フィルター使用 |
カシオペヤ座にある散開星団M52と、「バブル星雲」または「しゃぼん玉星雲」の愛称で知られる散光星雲NGC7635を同時に捉えてみました。
カシオペヤ座には天の川が通っていることもあり、数多くの散開星団が存在しますが、M52はその中でも最大のものです。メシエ天体としては、おおぐま座の系外銀河M81&M82についで天の北極に近い位置にあります。
一方、写真右下に見えるのが「バブル星雲」です。その名の通り、中心部に泡のような構造があります。主にHα線で輝いているため眼視での確認は困難ですが、写真ではその特徴的な構造がよくわかります。この「泡」を形作っているのは、泡の中に見える8.7等の星です。その正体は高温の大質量星で、質量は太陽の約40倍、温度は37500度、明るさに至っては太陽の約40万倍もあります。この星が引き起こす激しい恒星風が星間ガスにぶつかり、泡構造を形成したものと考えられています。
さて、この領域にはもう1つ注目すべき天体が写りこんでいます。それがM52の下、バブル星雲の左に写っているオレンジ色の星です。
この星には「V1405 Cas」と名前が付けられていて、2021年3月10日、日本の中村祐二氏が新星爆発を検出したものです。この天体は5月中旬には5等台まで達し、この写真を撮った時点でも8等台を維持していました。今回撮影した領域は2016年にも撮影しているので、それと比べれば新星爆発を起こした星を特定できそうです。
早速この新星の位置を2016年撮影の写真で確認してみると、そもそもの写り具合がまるで違いますが、該当位置に暗い星が見つかります。調べてみると、この星は「CzeV 3217」という、14.870~14.960等級の範囲で変光する食変光星でした。この星は白色矮星との連星系で、この白色矮星にもう一方の恒星からガスが過剰に降り積もり、新星爆発を起こしたものと考えられます。
オリジナル画像
コンポジット&処理前の画像です。ストレッチの類も一切加えていないので全体的に暗いですが、よく見るとバブル星雲の中心部が写っているのがかろうじて確認できます。