光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

馬頭星雲 IC434(暗黒星雲、オリオン座)

撮影日時 2022年1月2日、3日
撮影機材 ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG(D60mm, f298mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ ZWO ASI2600MC Pro
ガイド鏡 ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 -20℃, Gain=100, 露出900秒×10コマ(カラー)+Gain=350, 600秒×16コマ(Hα)
備考 IDAS LPS-D1 & Astronomik Hα 6nm使用

オリオン座の三ツ星のすぐわきにある有名な暗黒星雲です。「馬頭星雲」という愛称の通り、チリを多く含んだガスが奥にある散光星雲の光をさえぎって、馬の首のようなシルエットが浮かび上がっています。眼視ではほとんど見えませんが、写真に撮るとそのユニークな姿が浮かび上がってくるため、昔から人気の被写体です。ちなみにIC434というカタログ名は、正確には背景となっている散光星雲につけられたもので、「馬の首」の部分はアメリカの天文学者エドワード・エマーソン・バーナードがまとめた暗黒星雲のカタログにおいてB33というナンバーが振られています。

写真の中央やや上あたり、馬の首の根元近くに青っぽい星雲が見えますが、これはNGC2023という反射星雲。馬頭星雲からひとつながりになっているガスの雲を、生まれたばかりの星が内側から照らしている姿です。そしてその上(北側)には「燃える木」の愛称で知られる散光星雲NGC2024が見えています。NGC2024のすぐわきで輝いているひときわ明るい星が、三ツ星の最も東側の星「アルニタク」(オリオン座ζ星)で、NGC2024はガスの雲がこの星から放たれた強烈な紫外線のエネルギーを受けて輝いているものです。

写真の上方にはIC426という反射星雲がありますが、これは三ツ星の最も西側の星「ミンタカ」(オリオン座δ星)からの光を、ガスや塵が反射しているもの。逆に、写真の一番下には散開星団NGC1981が見えていますが、これはオリオン大星雲M42のすぐ北側に位置する星団で、写真を見るとIC434からこのあたりまでガスがひとつながりになっているのが分かります。実は、オリオン座付近は「オリオン座分子雲」と呼ばれる巨大なガス雲に包まれていて、これが恒星に照らされ、特に明るい部分が星雲として見えているというわけです。

この領域を撮るのは2016年12月以来、約5年ぶり。当時は天文改造デジカメでの撮影でしたが、今回は冷却CMOSカメラを使い、さらにHα画像もブレンドして迫力のある描写を目指しました。肝心のカラー画像の方の質に不満はありますが、ガスが重層的にたなびいている様子も分かり、東京都心で撮ったことを考えればまずまずでしょうか。とはいえ、もっと質を上げられるはずなので、個人的にはリベンジしたいところです。

オリジナル画像

コンポジット&処理前のカラー画像です。星雲の姿が目視で確認できますが、CMOSカメラで撮った画像としては背景が上がりすぎです。もっと露出時間を短くするか、Gainを下げるべきでした。

こちらはコンポジット&処理前のHα画像です。こちらはさすがに、星雲の姿がコントラスト良く浮き上がってきています。

<< 前のページに戻る

↑ PAGE TOP