光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

馬頭星雲 IC434(暗黒星雲、オリオン座)

撮影日時 2016年12月30日
撮影機材 ミニボーグ60ED+マルチフラットナー 1.08×DG(D60mm, f378mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3
ガイド鏡 ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 ISO100、900秒×8コマ
備考 IDAS/SEO LPS-P2-FFフィルター使用

オリオン座の三ツ星のすぐわきにある有名な暗黒星雲です。「馬頭星雲」という愛称の通り、チリを多く含んだガスが奥にある散光星雲の光をさえぎって、馬の首のようなシルエットが浮かび上がっています。眼視ではほとんど見えませんが、写真に撮るとそのユニークな姿が浮かび上がってくるため、昔から人気の被写体です。ちなみにIC434というカタログ名は、正確には奥の散光星雲につけられたものです。

写真の中央やや上あたり、馬の首の根元近くに青っぽい星雲が見えますが、これはNGC2023という反射星雲。馬頭星雲からひとつながりになっているガスの雲を、生まれたばかりの星が内側から照らしている姿です。そしてその上(北側)には「燃える木」の愛称で知られる散光星雲NGC2024が見えています。NGC2024のすぐわきで輝いているひときわ明るい星が、三つ星の最も東側の星「アルニタク」(オリオン座ζ星)で、NGC2024はガスの雲がこの星から放たれた強烈な紫外線のエネルギーを受けて輝いているものです。

さらにこれら以外にも、NGC2023の東側にはIC435、NGC2024のすぐ北にはIC432、その西側にIC431と、複数の反射星雲が点在しています。これは、この周辺に星の材料となるガスが大量に漂っているためで、それが星々に照らされて散光星雲や反射星雲、あるいはそれらの光をさえぎる暗黒星雲として見えているのです。

この領域を撮るのは実に3年ぶりですが、当時は都心から馬のシルエットが写っただけで喜んでいた覚えがあります。今回は露出時間を大幅に伸ばした結果、最微等級3等前後の東京都心からでも、IC434周縁部の淡いガスや暗黒星雲の濃淡を写し取ることができました。一見、背景が色ムラっぽく見えますが、この領域は上記のとおり星間ガスが大量にあって散光星雲、反射星雲、暗黒星雲が入り乱れているので、本当にこういうもののようです。一部、フラットが合ってない可能性もありますが、全体にわたってカラフルすぎて、正直判断がつきません(^^;

オリジナル画像

コンポジット&処理前の画像です。この時点でも馬頭のシルエットと「燃える木」ことNGC2024、さらにNGC2023が見て取れます。

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