馬頭星雲 IC434(暗黒星雲、オリオン座)
撮影日時 | 2013年12月29日 |
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撮影機材 | ビクセン ED103S(D103mm, f795mm)、ビクセン SXP赤道儀 |
使用カメラ | Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3 |
ガイド鏡 | アトム ガイドスコープ(D60mm, f540mm) |
オートガイダー | StarlightXpress Lodestar改 |
感度・露出時間 | ISO1600、150秒×28コマ |
備考 | IDAS/SEO LPS-P2-FFフィルター使用 |
オリオン座の三ツ星のすぐわきにある有名な暗黒星雲です。「馬頭星雲」という愛称の通り、チリを多く含んだガスが奥にある散光星雲の光をさえぎって、馬の首のようなシルエットが浮かび上がっています。眼視ではほとんど見えませんが、写真に撮るとそのユニークな姿が浮かび上がってくるため、昔から人気の被写体です。ちなみにIC434というカタログ名は、正確には奥の散光星雲につけられたものです。
写真の中央やや上あたりに青っぽい星雲が見えますが、これはNGC2023という反射星雲。馬頭星雲からひとつながりになっているガスの雲を、生まれたばかりの星が内側から照らしている姿です。そしてその上(北側)には「燃える木」の愛称で知られる散光星雲NGC2024が見えています。NGC2024のすぐわきで輝いているひときわ明るい星が、三つ星の最も東側の星「アルニタク」(オリオン座ζ星)で、NGC2024はガスの雲がこの星から放たれた強烈な紫外線のエネルギーを受けて輝いているものです。
ここまで書いてきた内容で分かる通り、オリオン座周辺は星の材料となるガスが大量に漂っているところで、それが星々に照らされて散光星雲や反射星雲、あるいはそれらの光をさえぎる暗黒星雲として見えているのです。空の本当に暗いところで冷却CCDなどを使って丁寧に撮影すると、この周辺がガスだらけで、ほとんどの星雲が全部ひとつながりになっている様子が分かります。
とはいえ、こちらは東京都心。さすがにそこまでは写りません。憧れの馬頭星雲の姿が都心で捉えられただけでもまずは御の字でしょう。この写真を撮ったのは年末で、光害が多少和らぐ時期だったのも奏功したのかもしれません。NGC2024の方は、露出不足だと鈍い赤色に写ってしまいがちなのですが、こちらもなんとか、ある程度の色味を出すことができました。
しかし、この構図で厄介なのがアルニタクの存在。星雲の暗さに対してこの星の光がとにかく強烈で、星雲を強調しようとすると普通なら気にならないようなゴーストまで浮かび上がってきてしまいます。この写真でも、よく見るとアルニタク周辺に格子状の不思議なパターンが浮き上がっています。レンズの研磨痕かなにかでしょうか……?