光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

かもめ星雲(わし星雲) IC2177(散光星雲、いっかくじゅう座~おおいぬ座)

撮影日時 2019年1月4日(RGB), 13日(Hα)
撮影機材 ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG(D60mm, f298mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3
ガイド鏡 ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 ISO100, 900秒×8コマ(RGB)
ISO200, 900秒×8コマ(Hα)
備考 RGB: IDAS/SEO LPS-P2-FFフィルター使用
Hα: OPTOLONG H-Alpha(7nm) for EOS APS-C使用

「かもめ星雲」または「わし星雲」の愛称で知られる、いっかくじゅう座とおおいぬ座の境界付近にある散光星雲です。鳥が大きく羽を広げたような美しい姿で人気の被写体ですが、主に人間の目に感じにくい波長の光(Hα線)で輝いているため、眼視で確認するのは困難です。赤外線カットフィルターを取り除いたいわゆる「天文改造カメラ」ならその姿を捉えることができますが、淡いうえに、南中時でも高度が40度程度と比較的低くて大気の透明度や光害の影響を受けやすいため、都心からでは決して易しい対象とは言えません。

そこで今回は、普段行っている天文改造カメラでの撮影に加え、別の日にHα線のみを通すフィルターを用いた撮影を行い、これをブレンドすることで写りの改善を目指しました。具体的には、普通に撮影した画像を三色分解したのち、これのR画像にHα線での撮影結果を加算平均で混合しています。その結果は明確で、以前撮影した際にはいかにも「無理して炙り出しました」とう感じが強かったのに対し、今回はだいぶ自然な表現になってきたかと思います。

ちなみに、この星雲のカタログ番号としては「インデックス・カタログ」の「IC 2177」が知られていますが、IC 2177は実は鳥の「翼」に相当する部分に振られた番号で、実際には上の写真に注釈を入れたように、複数のカタログ番号が振られた天体の集合体です。

オリジナル画像

コンポジット&処理前の画像です。翼の南端にあたるSh2-297はなんとか確認できますが、それ以外は光害にかき消されてしまい、翼を広げた鳥の姿は全く分かりません。

こちらはコンポジット&処理前のHα画像です。最初から「かもめ」の姿が見えていて、星雲の写りが上の画像と比べるとはるかにいいのが分かります。

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