光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

はくちょう座γ星サドル付近の散光星雲 IC1318ほか(散光星雲、はくちょう座)

撮影日時 2021年7月17日
撮影機材 ミニボーグ55FL+レデューサー0.8×DGQ55(D55mm, f200mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ ZWO ASI2600MC Pro
ガイド鏡 ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 0℃, Gain=100, 露出900秒×3コマ(NB1)+Gain=450, 600秒×8コマ(Hα)
備考 IDAS NebulaBooster NB1 & Astronomik Hα 6nm使用

天の川をまたぐように、十字に広がるはくちょう座には、北アメリカ星雲(NGC7000)を始め、多くの散光星雲が存在しています。なかでも、十字の交点に当たるはくちょう座γ星サドル(写真中央付近の輝星)の周辺には、淡い散光星雲が大きく広がっていてIC1318とナンバリングされています。なお、サドルの東側(左側)は星雲が特に濃く、その形から「バタフライ星雲」という愛称が付けられています。

相手が淡い散光星雲ですから、この写真では、通常の撮影に加えて、Hα線のみを通すフィルターを用いたナローバンド撮影を行い、このHα像のRチャンネルと、通常撮影分のG, BチャンネルとでRGB合成を行い、Nik CollectionのSilver Efex Pro 2などを用いて仕上げてみました。通常撮影分はHαおよびOIII, Hβを透過するNebulaBooster NB1フィルターを用いたものですから、実質的にはいわゆるAOO合成に近いでしょうか。それでも、カラーバランスを慎重に調整することで、普通に撮影したものと同じような雰囲気になったのではないかと思います。

こちらには、写真内に写っている主な天体について注釈を入れてみました。Bで始まるのは、暗黒星雲についてまとめられた「バーナードカタログ」のナンバーです。

左下にはメシエ天体であるM29、右下にはクレセント星雲(三日月星雲)ことNGC6888が写り込んでいます。NGC6888は3年前に単独で撮影したことがありますが、当時はデジカメを使用していた上、フィルターもOPTOLONGのCLS-CCDと、ナローバンド系のフィルターに比べると透過波長幅の広いものだったので、あまり写りは良くありませんでした。今回は、楕円形に広がるガスが内部構造含めよく分かります。

それにしても、東京都心でこれだけ写ってくれると本当に痛快です。惜しむらくは、こんなに淡いところまで写ると思っていなかったため、構図が少し東側に寄ってしまったことでしょうか。カメラをもう少しだけ西(右側)に振った方がバランスが良くなった気がします。

オリジナル画像

コンポジット&処理前のカラー画像です。NB1フィルターの効果か、この時点でIC1318の最も濃い部分が見えています。ただ、この夜は空模様に恵まれず、8コマ確保する予定が3コマしか確保できませんでした。

こちらはコンポジット&処理前のHα画像です。この時点で星雲の姿が、周辺のガスを含めみえてきています。Hαでの撮像には、カラーカメラは本来向かないのですが、それでもここまで写ってくれれば十分使えます。

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