光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

46P/ウィルタネン彗星

撮影日時 2018年12月15日
撮影機材 ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG(D60mm, f298mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3
ガイド鏡 ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 ISO100、600秒×8コマ
備考 IDAS/SEO LPS-P2-FFフィルター使用

ウィルタネン彗星は、1948年にアメリカの天文学者カール・ウィルタネンが発見した、周期5.4年の周期彗星です。ヨーロッパの彗星探査機「ロゼッタ」が、当初探査目標としていた彗星としても知られています。近日点距離は1.06天文単位と、地球~太陽間の距離と同程度の遠さなので基本的にはあまり明るくならないのですが、この2018年には地球に約0.08天文単位まで近づき、最接近する12月頃には3~4等台にまで明るくなることが期待されていました。ちなみに、この約0.08天文単位という距離は、信頼できる軌道を持つ彗星の中で歴代10番目の近さに相当します。

地球に接近した彗星一覧
http://wirtanen.astro.umd.edu/close_approaches.shtmlより)
順位順位
(50年以内)
地心距離(AU)日時彗星名
110.001201999年6月12日SOHO彗星(P/1999 J6)
2 0.01511770年7月1日レクセル彗星(D/1770 L1)
3 0.02291366年10月26日55P/テンペル-タットル彗星
420.02372016年3月22日PANSTARRS彗星(P/2016 BA14)
530.02482003年12月11日289P/ブランペイン彗星
640.03121983年5月11日IRAS-荒貴-オルコック彗星(C/1983 H1)
7 0.0334837年4月10日1P/ハレー彗星
850.03582016年3月21日252P/リニア彗星
9 0.03661805年12月9日3D/ビエラ彗星
10 0.03901743年2月8日C/1743 C1
11 0.03941927年6月26日7P/ポン-ウィンネッケ彗星
12 0.04081930年6月3日73P/シュワスマン-ワハマン第3彗星
13 0.04371702年4月20日C/1702 H1
14 0.04741947年4月11日322P/SOHO彗星
1560.05652014年5月29日209P/リニア彗星
1670.05812000年1月13日323P/SOHO彗星
1780.06041966年1月16日323P/SOHO彗星
1890.06281983年6月12日菅野-三枝-藤川彗星(C/1983 J1)
19 0.06821760年1月8日C/1760 A1
20100.07752018年12月16日46P/ウィルタネン彗星

地球への最接近は12月16日ごろで、撮影はその前日に当たります。明るさは4等台に達していたはずですが、10×42の双眼鏡で予報位置のあたりを覗いても何も見えません。地球との距離が近い分、彗星の光が大きく拡散してしまい、単位面積当たりの明るさが等級の数字以上に大きく下がってしまっているようです。こうしてみると、地球に接近したときでも明るく見えた百武彗星(C/1996 B2)や17P/ホームズ彗星の凄さがかえって際立ちます。

今回は彗星と地球との距離が近いために彗星の見かけ上の動きが速く、普通に恒星時で追尾すると流れてしまうところです。しかし今回はガイドカメラで彗星の核を捉えることができたため、これをガイド星として用いることで彗星を静止した状態で捉えています(その分、背景の恒星は流れています)。このころは彗星を正面から見る形になっているため、尾はほとんど見えません(心眼だと大体10時方向に尾が伸びているような気がしなくもないような……)。しかし、暗いところで撮影した写真では、扇状に広がった尾を横から見る形になって、コマを中心に尾とアンチテイルが見えています。比較的長めの露出をかけたので、もしかしたら写るかもと期待したのですが、さすがに東京都心で撮るには淡すぎたようです。

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