東方最大離角後の金星
撮影日時 | 2015年6月20日 |
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撮影機材 | ビクセン ED103S+NLV10mm(D103mm, 合成f3180mm)、ビクセンSXP赤道儀 |
使用カメラ | ZWO ASI120MC |
露出時間 | 約60秒, 約30fps |
その他 | 約1000フレームをAutostakkert!2によりスタッキング後、Registax6でウェーブレット処理 |
2015年6月20日に撮影した、東方最大離角を少し過ぎた頃の金星です。
地球よりも太陽の内側にある水星や金星は地球からの見かけ上、太陽からある角度以上離れることはありません。その最大値を「最大離角」といい、太陽の東側にもっとも離れる「東方最大離角」と西側にもっとも離れる「西方最大離角」とがあります。最大離角の前後はその惑星がもっとも太陽から離れているため、高度が高くなり観望好機となります。
下の図は、下側が地球と金星の軌道を上から眺めたもの、上側がそれぞれの位置での地球からの見え方を示したものですが、最大離角の時の地球と惑星の位置関係、そして地球からの見え方がよく分かると思います。なお、「太陽-金星-地球」の順に並んだときが「内合」で、「金星-太陽-地球」の順に並んだときが「外合」です。そして、最も明るく輝く「最大光輝」は内合前後の36日頃に訪れます。
この年は6月7日に金星が東方最大離角を迎えていて、撮影した頃も日没時の高度がまだ30度近くありました。最大離角の時の金星は半月状に見えますが、この時は最大離角を過ぎていたため、半月よりはやや欠けて見えます。
金星は非常に明るい天体ですが、これほど明るく見えるのは、全体が硫酸の白く分厚い雲に覆われているためです。しかしそのために、望遠鏡で見ても満ち欠けしている様子はわかるものの、表面の模様はほとんど見えません。ただ、フィルターを付けて紫外域で撮影すると雲の模様が写るそうですし、赤外域で過剰に露出をかけると、条件が良ければ金星の「夜」の側の地表の模様が写ることがあるようです。余裕があれば、チャレンジしてみたいものです。