ナローバンドフィルターによる太陽面
撮影日時 | 2024年5月18日 |
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撮影機材 | ビクセン ED103S(D103mm, f795mm)、ビクセンSXP赤道儀 |
使用カメラ | ZWO ASI2600MC Pro |
感度・露出時間 | 20℃, Gain=100, 露出1秒×16コマ |
その他 | Baader AstroSolar Safety Film(眼視用)で減光 Astronomik Hα 6nm & Optolong L-Ultimate使用 |
2024年5月18日に、ディープスカイ撮影用のHαナローバンドフィルターを利用して撮影した太陽面の写真です。
太陽観測専用の望遠鏡として「Hα太陽望遠鏡」というものがあります。この望遠鏡には「エタロンフィルター」と呼ばれる特殊フィルターを中心に複数のフィルターが組み込まれていて、結果としてHα線のみが0.6~0.7Å程度の極めて狭い幅で抽出されます。これにより、光球のすぐ外側にある「彩層」で起こる様々な現象やプロミネンスを捉えることが可能になるわけです。
となると、透過する波長幅こそ桁違いとはいえ、普通の天体撮影で用いるナローバンドフィルターでもなんとかなるのでは?というのが気になるところ。これを試してみたのが上の写真です。
この写真では、強烈な太陽光をAstroSolar Safety Filmで強力に減光した後、Astronomik Hα 6nmとOptolong L-Ultimate(半値幅3nm)とを通すことで半値幅約2.7nm(透過曲線が正規分布と仮定した場合)のHαナローバンドフィルターとして機能させています。
結果、太陽表面にある彩層(写真で太陽の縁を取り巻いている赤いガス)や、淡いながらもプロミネンスをきっちりと捉えることができました。ほぼ同時刻に国立天文台で撮影されたデータなどとも比較しましたが矛盾はなく、ある程度大きいプロミネンスなら、このような簡易的なシステムでも十分確認できそうです。
ただし、この撮影では機器を保証外・目的外の方法で使用しています。一応、筆者は十分な下調べの上で実行していますが、太陽という極めて危険な天体を対象としていることもあり、ちょっとしたことで物品的、肉体的に極めて重大かつ不可逆な事故を引き起こす可能性があります。本記事は、記事内容の行為を推奨するものではありません。また、もし本記事を真似てなにか事故が起こったとしても、筆者は一切の責任を負いかねます。ご注意ください。