土星 2017年7月7日
撮影日時 | 2017年7月7日 |
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撮影機材 | セレストロン EdgeHD800+Meade 3x TeleXtender(D203mm, f6096mm)、ビクセンSXP赤道儀 |
使用カメラ | モノクロ:ZWO ASI120MM カラー:ZWO ASI120MC |
露出時間 | モノクロ:約120秒, 約30fps カラー:約120秒, 約25fps |
その他 | ZWO ADC使用 モノクロ:2650フレームをAutostakkert!2でスタック後、Registax6でウェーブレット処理 カラー:2250フレームをAutostakkert!2でスタック 得られたモノクロ、カラーの画像をステライメージ7でLRGB合成 |
2017年7月7日、動画カメラを用いて撮影した土星です。
今シーズンの土星は、昨年から引き続きへびつかい座にあって、南中時でも高度が30度ちょっとしかありません。地球から見た時の環の傾きがほぼ最大になっていて、見栄えがするのは嬉しいところですが、低空ゆえのシーイングの悪さには悩まされがち。一般に、夏場は太平洋高気圧に覆われて気流が安定しているといわれますが、こと住宅街の低空に限って言えば、昼間に熱をため込んだ家屋からの熱気やクーラーの排気の影響もあり、案外状態が悪いことも多いのです。この夜も、土星全体が小刻みに波打ち、決して良好なシーイングではありませんでした。
しかし、実際に処理をしてみると、意外とよく写っていました。全体を見ると、もう少し強くウェーブレット処理をかけてもよさそうですが、明るいB環の中に本来は存在しない溝が浮き出てしまうため、ほどほどのところで止めています。これ以上の写りを目指すのであれば、もっといいシーイングのときを狙わないとダメでしょう。
なお、今回は大気による色分散を補正するため、光路上にZWOのADC(Atmospheric Dispersion Corrector, 大気分散補正用可変ウェッジプリズム)を入れています。低空にある天体は、大気がプリズムの役割をして上下方向に色にじみが発生するのですが、プリズムで逆方向の色分散を発生させることでこれをキャンセルすることができます。これが大きな意味を持つのはモノクロ画像の方です。カラー画像の方は、R、G、Bそれぞれの色ごとに事後的に位置合わせをすることが可能ですが、モノクロの場合、すべての色をまとめて捉えてしまうので、色分散があると結果としてぼやけたように写ってしまうのです。
今回、可変ウェッジプリズムを使うことで、大気による色分散を抑えることができました。多少なりとも効果があったのではないかと思います。使いこなしがやや難しいですが、色分散は拡大率が大きくなるほど影響が大きくなるので、本格的に惑星撮影を行う場合、ぜひ使いたいところです。