光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

ばら星雲(散光星雲+散開星団、いっかくじゅう座)

撮影日時 2019年12月4日
撮影機材 ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG(D60mm, f298mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3
ガイド鏡 ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 ISO100、900秒×8コマ
備考 IDAS NebulaBooster NB1フィルター使用

オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンを結んでできる「冬の大三角」の内側、「いっかくじゅう座」にある有名な散光星雲です。いっかくじゅう座は、面積こそ482平方度と、ふたご座(514平方度)並みでそこそこ大きいものの、最も明るい星でも3.76等(いっかくじゅう座β星)と暗い星ばかりで見栄えのしない星座です。しかしその中で、満月2個分ほどもの広がりを持つこの星雲は、写真に写りやすいため昔から人気の被写体でした。

ただし、花びらにあたる部分は人間の目には感じにくいHα線(波長656.3nm)で輝いているため、眼視で見えるのは中心部の散開星団NGC2244の部分だけです。もし、花びら部分が写真のようにハッキリ肉眼で見えていたら、星に興味を持つ人が大幅に増えていたような気がします(^^;

なお、花びらにあたる部分は領域ごとにNGC2237, 2238, 2239, 2246と複数のNGCナンバーが振られています。これらの領域内には黒い筋や点(「グロビュール」と呼ばれます)が見えますが、これはガスやチリが互いの重力で濃密に集まっている部分で、いわば「星の卵」です。これがさらに成長すると、自身の重力でガスが圧縮され、自ら光を放つ恒星となります。NGC2244の星たちも、同様の過程をたどって「ばら星雲」の中で生まれ、輝きだしたものと考えられています。

今回は、Hα線およびHβ線、OIII線を透過するNebulaBooster NB1フィルターを用いることで、Hα線で輝く星雲をコントラスト良くとらえることができました。NB1フィルターを用いて散光星雲を撮影した場合、えてして赤一辺倒の単調な色合いになりがちなのですが、今回の「ばら星雲」は明るい対象だけに、もう少し複雑な色が出た感じです。また、シャープネスの向上&淡い部分を持ち上げるため、今回はRチャンネルにSilver Efex Pro 2の「高ストラクチャ(強)」を適用していますが、そのままだとドギツイ感じだったので、さらに元画像とブレンドしています。クリスマスツリー星団方面にまで続くガスも表現できた一方、眼に痛い感じはだいぶ軽減できたのではないかと思います。

オリジナル画像

コンポジット&処理前の画像です。NB1フィルターの効果か、この時点で星雲の姿がはっきり確認できます。一般的な光害カットフィルターではなかなかこうはいきません。

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