光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

ステファンの五つ子(系外銀河、ペガスス座)

撮影日時 2022年10月1日
撮影機材 セレストロン EdgeHD800(D203mm, f2032mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ ZWO ASI533MC Pro
ガイド鏡 セレストロン オフアキシスガイダー使用
オートガイダー StarlightXpress Lodestar
感度・露出時間 モノクロ:0℃, Gain=400, 露出600秒×8コマ
カラー:0℃, Gain=200, 露出600秒×8コマ
備考 モノクロ:SIGHTRON IR640 Pro IIフィルター使用
カラー:IDAS LPS-D1フィルター使用

ペガスス座にある、近接して見える5つの銀河です。1877年にマルセイユ天文台のエドゥアール・ジャン=マリ・ステファン(Édouard Jean-Marie Stephan)により発見されたことから「ステファンの五つ子」の愛称で知られています。

写野内の銀河

この5つの銀河のうち、NGC7320以外の4つは実際に近接していて、互いに相互作用を及ぼし合っています。相互作用の結果、銀河の形が歪んだり、潮汐力で尾が伸びたり、衝撃波によって銀河から離れたところに星形成領域ができたりと、激しい反応が起こっています。この4つ、および少し離れた位置にあるNGC7320Cはいずれも地球から約3億光年のかなたにあり、1つの銀河群を形成しています。こうした規模の小さな銀河群は「コンパクト銀河群」と呼ばれます。カナダの天文学者ポール・ヒクソン(Paul Hickson)は1982年、このような銀河群を「ヒクソン・コンパクト銀河群」(HCG)という銀河カタログにまとめました。「ステファンの五つ子」はHCG92にナンバリングされています。

一方、NGC7320は地球から約4000万光年しか離れておらず、たまたま同じ方向に見えているだけです。ずっと遠くにある「五つ子」の他のメンバーに比べて明らかに青いので「後退速度の違いのせいか!?」と思いたくなりますが、残念ながら(?)単に星形成活動が活発で、若い星が多いというだけのようです。

今回は、相手が暗い系外銀河ということで、近赤外画像をL画像、通常のカラー画像をRGB画像としてLRGB合成してみました。思った以上にしっかり各銀河の色が出てくれたと思います。

オリジナル画像

コンポジット&処理前の赤外画像です。さすがは赤外線、光害に負けず銀河の姿がハッキリと分かります。

一方、こちらがコンポジット&処理前のカラー画像です。赤外画像とは撮影時のゲインが違うので同列には比較できませんが、全体の輝度を同程度にそろえても銀河の写りはお世辞にもいいとは言えません。

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