光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

下弦の月

撮影日時 2012年9月9日
撮影機材 ビクセンED103S(D103mm, f795mm)、ビクセンSXD赤道儀
使用カメラ Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3
感度・露出時間 ISO100、1/30秒×13コマ
その他 AviStack2による画像処理

下弦の月を天文改造済みのカメラで狙ってみました。天文改造……すなわちIRカットフィルターを除去する改造を行ってしまうとカラーバランスが大きく狂ってしまうのですが、月面はほぼニュートラルグレーのはずなので、それを目安に調整を行いました。

惑星や月面の写真では最近、動画カメラを用いた撮影が主流になっています。地球は分厚い大気に包まれているため、その揺らぎによって月や惑星の像も絶えず揺らいでいます。しかし動画でこの揺らぐ像をそのまま記録し、後からその揺らぎを補正しつつ各コマ同士を合成して高精細な画像を得るというのが「スタッキング」と呼ばれる処理です。今回はこのスタッキングの手法を静止画に応用してみました。用いたのは「AviStack2」という月面写真の処理を主目的に開発されたソフトで、これで13コマの静止画をスタッキングし、処理を行っています。

動画で数千フレームを合成するのと異なり、高々13コマ程度では効果はないかと思っていたのですが、思ったよりシャープに仕上がってくれました。南部高地のクラビウス(225km)、マギヌス(194km)、ロンゴモンタヌス(157km)といった巨大クレーター群、南部高地の北側「雲の海」に走る直線壁、中央付近のアペニン山脈からエラトステネス(58km)、コペルニクス(97km)とつながるライン、「雨の海」の複雑な溶岩流、秤動の関係で見やすくなっている、北部の「氷の海」周辺のプラトー(101km)、フォントネル(38km)、フィロラウス(71km)……。見どころ満載で飽きません。

ただし、画像サイズの影響もあるとは思いますが、静止画をスタッキングする場合、処理時間はものすごくかかるので、そこは覚悟が必要です(^^;

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