光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

皆既月食 2011年12月10日

撮影日時 2011年12月10日23時8分
撮影機材 ビクセンED103S(D103mm, f795mm)、ビクセンSXD赤道儀
使用カメラ ペンタックス K-7
感度・露出時間 ISO100、5秒

2011年12月10日、皆既月食が全国で見られました。欠け始めから欠け終わりまでの全経過を見ることができ、しかもほぼ南中するころに皆既月食の最大となる大変好条件の月食で、しかも太平洋側の晴天率が高い真冬ということで、事前から大いに期待されていました。

実際、当日は雲一つない好天で(寒かったけど)、月食の全過程を観察することができました。数日前から新聞記事で報じられていたこともあり、住宅街の中で展開していた望遠鏡の周りには近所の人や通りすがりの人が集まって、ちょっとした観望会の様相に。当初の計画では一定時間おきに写真を撮影し、月食の連続写真を仕立てあげる予定だったのですが、人に望遠鏡をのぞかせる方に忙しくなってしまって、撮影は二の次になってしまいました。それでもハイライトの「赤い月」は押さえられましたし、周りの人たちも喜んでくれたので良しとすべきでしょう。この手の天文現象は楽しんでなんぼです。

さてこの写真ですが、地球の影の縁に近い部分がやや青っぽく写っているのが分かるでしょうか?こちらには、影の縁の部分が分かりやすいよう、もう少し早い時間帯に撮影したものを置いておきます。これは「ターコイズフリンジ」と呼ばれる現象で、太陽光が成層圏のオゾン層を通過する際、赤い光が吸収されて青い光だけが残り、これが影の縁に沿って見えているものと言われています。「地球大気の影」とでも言うべきものでしょうか。2007年5月4日にドイツで見られた皆既月食時の青色の光について、2008年にNASAが言及してから広まった言葉だといわれています。

肉眼ではほとんど見えず、デジカメなどで高精細の写真が撮影されるようになってから注目されるようになった現象ですが、銀塩フィルム時代にはほとんど知られていなかったことから、デジカメの画像処理エンジンやフォトレタッチソフトでの画像処理に由来する人為的なものではないかという懐疑的な見方もあります。ただ、提唱されてから数年がたって報告例が積みあがってきており、撮影条件がバラバラなそれら全部が人為的なものとは考えにくいので、おそらく本当に「青い」のではないかと思います。

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