光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

金環日食 2012年5月21日

雲越しに見えた欠けた太陽

撮影日時 2012年5月21日6時58分
撮影機材 ビクセンED103S(D103mm, f795mm)、ビクセンSXD赤道儀(以下全て同様)
使用カメラ ペンタックス K-7(以下全て同様)
感度・露出時間 ISO100、0.4秒
その他 Baader Planetarium AstroSolar Safty Film(眼視用)で減光(以下全て同様)

2012年5月21日、日本の太平洋沿いの広い範囲で金環日食が見られました。日本で金環日食が見られるのは1987年9月23日に沖縄で見られたもの以来25年ぶり、しかも東京をはじめ人口が密集している地域を通るということで大変注目を集めました。これをきっかけに、かつての「天文少年」が復活を果たす例も少なくなかったようで、かくいう自分もその1人。なにしろ、2035年に関東地方で見られる皆既日食と並び、子供のころから待ちに待った日食でしたから……。

ところが当日は無情にも朝からベタ曇り。太陽が欠け始める(第一接触)時刻になっても太陽が見えないどころか、しまいには雨までパラついてくる始末で、見られないことをいよいよ覚悟しました。

しかし、日食が始まってから30分ほどたった頃、だんだん雲が薄くなり始め、とうとう欠けた太陽の姿が現れました。この時点で食分は0.52……つまりすでに半分ほど欠けている状態になります。

第二接触直前

撮影日時 2012年5月21日7時31分
感度・露出時間 ISO100、1/8秒

太陽はその後も、雲から出たり入ったりを繰り返しながら、どんどん大きく欠けていきます。徐々に近所の人や通りすがりの人も望遠鏡の周りに集まりだし、太陽が欠けていく様子を固唾を飲んで見守っていました。

この写真は第二接触……つまり食が進んで太陽と月が内接する(部分日食から金環日食に移行する)直前に撮ったものです。いよいよこれから金環日食……というところでしたが、この直後、またしても太陽は厚い雲に覆われ、見えなくなってしまいました。

雲越しに現れた金環

撮影日時 2012年5月21日7時32分
感度・露出時間 ISO100、1秒

肝心の第二接触の直前になって雲に完全に隠されてしまった太陽ですが、1分ほどたつとまた雲が薄くなり、とうとうリング状になった太陽の姿が現れました。それにしても、この丸い影が月かと思うと、そのスケール感に圧倒されます。

食の最大

撮影日時 2012年5月21日7時34分
感度・露出時間 ISO100、0.5秒

食がほぼ最大に達し、太陽が完全な同心円状になりました。ここまで食が進むと、薄雲がかかっているとはいえ太陽の高度の割に明らかにあたりが暗く、気温も気持ち下がってなんとも異様な気配です。日食の仕組みを知らない古代の人は、さぞや肝をつぶしたことでしょう。

第三接触

撮影日時 2012年5月21日7時37分
感度・露出時間 ISO100、0.3秒

金環食の状態になって約5分。あっという間に金環日食の終わりです。金環食が始まる瞬間の「第二接触」は見られませんでしたが、終わる瞬間の「第三接触」は捉えることができました。月の縁と太陽とが接している部分で光がまだらになっていますが、これは「ベイリービーズ」と呼ばれる現象です。

ベイリービーズ

上の写真で月と太陽が接している部分をトリミングしてみました。太陽の光が所々で途切れていますが、これがベイリービーズです。月面はクレーターや山、谷があってでこぼこしているため、皆既日食や金環日食の直前直後、月の縁と太陽が接した時に谷間から光が漏れて数珠のように見えるのです。見られる機会が限られる、貴重な現象です。

<< 前のページに戻る

↑ PAGE TOP