光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

紫金山-アトラス彗星(C/2023 A3)

撮影日時 2024年10月13日18時10分
撮影機材 ペンタックス D FA MACRO 100mmF2.8(F2.8), SkyWatcher AZ-GTiマウント
使用カメラ ペンタックス K-5IIs
感度・露出時間 ISO200 露出2秒×32
備考

紫金山-アトラス彗星(C/2023 A3)は、2023年1月9日に中国の紫金山(ツーチンシャン)天文台、同年2月22日に南アフリカ共和国の小惑星地球衝突最終警報システム (ATLAS) によって独立して発見された、「オールトの雲」由来の新彗星です。

当初の予想では、久々にマイナス等級に達する彗星として期待されたのですが、2024年5月ごろから光度の伸びが著しく鈍化。核の崩壊を示唆する論文が出たりしたこともあり、古い天文ファンの中には同じオールトの雲出身のコホーテク彗星(C/1973 E1)やオースチン彗星(C/1989 X1)、あるいはアイソン彗星(C/2012 S1)の悪夢を思い出した人も少なくなかったと思うのですが……幸い、彗星は崩壊することなく7月を過ぎると再び増光を始めます。8月ごろには、控えめに見積もっても近日点通過前後に2等程度にはなるはずと予想されました。

さらに、近日点通過が近づくと前方散乱の効果によってさらに明るさは増し、最大でマイナス4等を超える大彗星に成長しました。

こちらの写真は、彗星が夕方の空に回った10月13日、経緯台モードのAZ-GTiマウントで追尾を行って撮影した紫金山-アトラス彗星です。この時の明るさは0~1等ほどで、写真に写っているだけでも5度ほどの尾が伸びています。東京の街なかからでも肉眼で存在が分かり、双眼鏡を使えば尾を引いている姿も見えるという、本当に久々の大彗星となりました。

撮影日時 2024年11月3日18時10分
撮影機材 ミニボーグ55FL+レデューサー0.8×DGQ55(D60mm, f200mm)、SXP赤道儀
使用カメラ ZWO ASI2600MC Pro
ガイド鏡 ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 L画像:Gain300, 100秒×24
RGB画像:Gain100, 100秒×24
備考 L画像:サイトロン IR 640 PRO IIフィルター使用
RGB画像:IDAS LPS-D1フィルター使用

こちらは地球最接近からおよそ半月後、11月頭に撮影した紫金山-アトラス彗星(C/2023 A3)です。全盛期と比べるとはるかに小さいものの、大彗星だった片鱗を感じる予想外に立派な姿です。画角と比較すると尾の長さは依然として3度近くもあり、なかなかのものです。このときの地球との距離は約1.06天文単位。10月13日には約0.47天文単位だったので、わずか半月ほどでずいぶん離れたといえます。明るさは6等台程度まで落ちています。

この写真では、赤外線フィルターを撮影に用いています。この彗星はダストが多いのですが、ダストはほぼ全波長に渡って太陽光を反射するので、赤外線で撮影すれば光害の影響を大きく受けなくて済むというわけです。狙い通り、都心にもかかわらず淡く長い尾が良く見えています。

<< 前のページに戻る

↑ PAGE TOP