光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

パンスターズ彗星(C/2011 L4)

撮影日時 2013年3月12日18時31分
使用カメラ ペンタックス K-5IIs+DA55-300mmF4-5.8ED
感度・露出時間 100mm, F4, ISO100 露出10秒
備考 アストロトレーサーによる簡易追尾。一部をトリミング。

パンスターズ彗星(C/2011 L4)は、2011年6月6日、移動天体や突発天体を捜索するプロジェクトであるPan-STARRS(パンスターズ)の望遠鏡によって発見された新彗星です。彗星は発見後、順調に明るさを増していったこともあり、2013年3月に太陽に接近するころにはマイナス等級に達する大彗星になるだろうと予測されました。新聞などでも取り上げられ、同年11月に接近予定だったアイソン彗星(C/2012 S1)とあわせて、ちょっとした騒ぎになったことを覚えている人も多いでしょう。

しかし、実際にはそこまでの大彗星にはなりませんでした。等級自体は1~2等まで明るくなったので、明るさだけなら「大彗星」と言えなくもありません。しかし、夕方の薄明かりが残る中での観察だったこと、見えるのが地平線近くだったこと、黄砂や春霞で透明度が悪かったこと、といった悪条件も重なり、一般の人が期待するほどの見え方にはなりませんでした。

上の写真は多摩川の河川敷から撮影したものです。この時の明るさは1等前後あったはずですが、夕方の空は想像以上に明るく、双眼鏡を使ってもなかなか見つけられませんでした。どうにか捉えたのは、日没から約40分後、彗星の高度が5度を切るくらいになってからです。

写真で雰囲気が分かるかもしれませんが、見かけの大きさもかなり小さいもの。百武やヘール・ボップのせいで感覚がマヒしているのかもしれませんが、見かけの明るさが暗いこともあって、決して一般向けとはいいがたい感じです。いったん場所が分かってしまえば10×42の双眼鏡でたやすく確認することができたので、十分に立派な彗星ではありましたが、目印が全くないところで見つけるのはかなり骨が折れました。

撮影日時 同上
使用カメラ 同上
感度・露出時間 100mm, F4, ISO100 露出10秒×4コマ
備考 アストロトレーサーによる簡易追尾。4コマをコンポジット後、ステライメージ7により強調処理。一部をトリミング。

こちらの写真は、4コマ分をコンポジットしたうえで強調処理したものですが、思いのほかしっかりしたダストの尾が伸びていて、なかなかいい恰好をしています。惜しむらくは、やはり当初の予想ほどの増光がなかった点でしょうか。予想通りの増光があれば、これの20~30倍の明るさになって、かなりの見ごたえがあったはずです。

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