北アメリカ星雲 NGC7000とペリカン星雲 IC5067, 5070(散光星雲、はくちょう座)
撮影日時 | 2015年9月20日 |
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撮影機材 | ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG(D60mm, f298mm)、ビクセン SXP赤道儀 |
使用カメラ | Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3 |
ガイド鏡 | ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm) |
オートガイダー | ZWO ASI120MM |
感度・露出時間 | ISO1600、240秒×8コマ |
備考 | 富士フイルム SC64フィルター使用 |
はくちょう座の1等星デネブのすぐ近くにある散光星雲です。NGC7000は、その姿が北アメリカ大陸に似ていることからこの愛称があります。一方の「ペリカン星雲」も、その名の通りペリカンのような形をしていることから名づけられました。これらの散光星雲は主にHα線という、水素に由来する波長656.28nmの光を発しています。
そこでこの写真では、IRカットフィルターを除去した改造カメラである「EOS Kiss X5 SEO-SP3」と、640nm付近以上の波長の光のみを通す「SC64フィルター」を組合せ、Hα線付近の光のみを通すようにして撮影してみました。カメラの方は、元々の赤外カットフィルターが取り外されている代わりに、紫外・赤外カットフィルターである「IDAS UIBAR-III」に相当するものが取り付けられており、これとSC64フィルターを組み合わせると、Hα線付近のみを通す、半値幅30nm程度のバンドパスフィルターとして機能するのです。いわば「疑似ナローバンド撮影」とでもいうべき方法で、光害や月明かりにはHα線の成分は少ないため、散光星雲だけコントラストよく捉えられるという計算です。
撮影した画像からRチャンネルのみ抜き出してコンポジットし、処理を加えた結果が上の写真ですが、月明かりと激しい光害の中、東京都心でこれだけ写るというのは驚きです。星雲を浮き出させるためにかなり強烈な処理を行っていますが、モノクロ画像のため処理が簡単なのも特筆すべき点かと思います。
ただ一方で、よく見ると星像が歪になっています。SC64フィルターはトリアセチルセルロースという材質でできたペラペラのシート状なので、フィルターの平面性がやはり問題になっていそうな雰囲気です。また、いくら「月明かりや光害に強い」といっても影響を受けるのは確かで、今回の場合は露出をこれ以上延ばすとRチャンネルが飽和してしまいました。ちゃんとしたバンドパスフィルターを使い、条件のいい日に撮影すれば期待が持てそうです。