光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

網状星雲 NGC6992-5(超新星残骸、はくちょう座)

撮影日時 2017年6月3日
撮影機材 ビクセン ED103S+レデューサーED(D103mm, f533mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3
ガイド鏡 ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 ISO100、900秒×8コマ
備考 OPTOLONG CLS-CCD for EOS APS-Cフィルター使用

はくちょう座にある有名な超新星残骸です。数万年前の超新星爆発によって飛び散ったガスが輝いているもので、この周辺には見かけの大きさにして4度ほど、実サイズにして直径約50光年にわたってフィラメント状の淡いガスが広がっています。ここで捉えているのは「網状星雲」の中でも最も明るい東側の部分で、NGC6992~6995の名前が割り当てられています。

この領域は過去2回にわたって撮影していますが、今回は、光害カットフィルターとして普段使っている「LPS-P2」ではなくOPTOLONGの「CLS-CCD」を使ってみました。LPS-P2は水銀灯やナトリウムランプ由来の光のみをカットし、それ以外はなるべく通すような設計になっているのに対し、CLS-CCDは惑星状星雲や超新星残骸、散光星雲の輝きの元となる酸素原子や水素原子由来の波長の光のみを通し、他はばっさり切り捨てるようになっています。その分、これらの天体をコントラストよく捉えることが可能になるというわけです。

実際、今回の写真ではこれまでになく網状星雲をハッキリと捉えることができています。加えて、今回はRチャンネルとGチャンネルの画像を利用したそれぞれの星雲マスクを作成し、選択的にHα領域とHβ、OIII領域の強調や色調整を行っています。都心で撮ったと言っても、にわかには信じてもらえない程度にはなったのではないかと思います。

なお、今までED103S+レデューサーEDの組み合わせでは隅々までのフラット補正が困難でトリミング必須だったのですが、今回は端まできれいに合わせることができました。普段使っているLPS-P2-FFと今回のCLS-CCD for EOS APS-Cとを比べてみると、LPS-P2-FFではフィルター枠に沿って明らかな蒸着ムラが見られます(下写真)。もしかすると、これまでフラット補正が困難だったのはこの影響があるのかもしれません(現時点ではまだ仮説ですが)。

LPS-P2-FF(左)とCLS-CCD for EOS APS-C(右)

オリジナル画像

コンポジット&処理前の画像です。都心の激しい光害の中ですが、この時点ですでに星雲の色や姿が見えています。「CLS-CCD」フィルターの効果でしょうか。

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