光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

ふくろう星雲 M97とM108(M97: 惑星状星雲、M108: 系外銀河、おおぐま座)

撮影日時 2017年5月20日
撮影機材 ビクセン ED103S+ボーグ マルチフラットナー 1.08×DG(D103mm, f859mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3
ガイド鏡 ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 ISO100、900秒×8コマ
備考 IDAS/SEO LPS-P2-FFフィルター使用

おおぐま座にある惑星状星雲M97と系外銀河M108を同一視野に入れた構図で捉えてみました。両者は0.8度ほどしか離れておらず、定番の構図と言えます。

M97は距離2600光年の所にある惑星状星雲。暗い部分が2つ並んでいる姿がフクロウの顔のように見えることから「ふくろう星雲」の愛称があります。惑星状星雲は単位面積当たりの明るさが大きくて見やすいものが多いのですが、このM97はかなり淡くて見づらい対象です。実際、視直径が3秒ほどと小さい上に、明るさは10等程度しかなく、以前単独で撮影した時も予想以上の写りの悪さに閉口した覚えがあります。。

一方のM108は距離4500万光年の所にある渦巻銀河。星形成が活発に行われているいわゆる「スターバースト銀河」で、写真だとちょうどM82のような見た目です。もっとも、M82はハッキリした構造を持たない「不規則銀河」であるのに対し、こちらは渦巻銀河を横から見ている姿です。

M108も約10等とメシエ天体の中では最も暗い部類で、M97ともども、撮った直後はかろうじて存在が確認できるかどうかという程度の写りでした。やはり渋谷、新宿のある北方面の空は光害が厳しくてなかなか大変です。

ところで、M97は距離2600光年で銀河系内の天体、M108は距離4500万光年の系外銀河で両者の距離の差は1万倍以上違います。さらにM108の真西、写真の縁ちかくに小さく見える系外銀河NGC3594は2億8800万光年ものかなたにある天体です。つまり、この写真には10万倍も距離の違う天体が同時に写っているわけで、その奥行きを考えると宇宙の広さが実感されます。

オリジナル画像

コンポジット&処理前の画像です。北に渋谷、新宿を控えているだけに光害が激烈で、M97、M108とも光害に埋もれて全く分かりません。本当に写野内に入っているのかどうか、その場で画像処理して確認しながら撮影しました。

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