光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

M88, M91(系外銀河、かみのけ座)

撮影日時 2024年3月11日
撮影機材 ED103S+SDフラットナーHD(D103mm, f811mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ ZWO ASI2600MC Pro
ガイド鏡 ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 -20℃, Gain=100, 露出300秒×24コマ
備考 IDAS LPS-D1フィルター使用

かみのけ座にある系外銀河です。星座の区分的にはかみのけ座にありますが、いずれも「おとめ座銀河団」の一員です。

M88は見事な渦巻き構造を持つ銀河で、アンドロメダ銀河M31のミニチュアのようです。この銀河はM99と同じくかなり早い段階で、72インチ望遠鏡、通称「パーソンズタウンのリヴァイアサン」で有名な「第3代ロス伯爵」ことウィリアム・パーソンズにより渦巻構造が発見されています。シーイングのいいときに長焦点鏡で単独で狙ってみたいところです。

M91はおとめ座銀河団に属する棒渦巻銀河です。中央の棒構造は明瞭ですがが、それに比べると腕はそれほどハッキリしていません。これはM91がガスに乏しく、星の形成活動が不活発なためで、こうした銀河を「貧血銀河」と呼びます。このような銀河が、将来さらにガスを失い、星形成も低調になって、より不活発な「レンズ状銀河」へと進化していくのかもしれません。

M91は1781年3月18日、シャルル・メシエによって発見されました。この夜、メシエは実に8つの銀河と1つの球状星団を発見しているのですが、M91は発見した8個の銀河のうちで最後に記録されました。ところが、メシエがM91の位置を記録した際、M58を基準にしたつもりが誤ってM89を基準にしてしまったため、該当する位置に銀河がなく、長らく「失われた銀河」となっていました。

そのため「M91」については、メシエが銀河と間違えて彗星を記録した、M58を重複してカウントしてしまった、あるいはNGC 4571がM91であるといった説がまことしやかに流れていたのですが、1969年にテキサス州フォートワースのアマチュア天文家ウィリアム・C・ウィリアムズが、この基準位置の誤りに気付き、ウィリアム・ハーシェルが独立に発見していた棒渦巻銀河NGC 4548がM91であることが明らかとなりました

ちなみに、「M91の候補」として挙げられたNGC 4571ですが、こちらも腕のハッキリしない渦巻銀河で、本物のM91と同様、ガスに乏しく星の形成活動が不活発だと考えられています。姿がおぼろげな上に11.3等とかなり暗いので、当時メシエがこれを発見できたかどうかはかなり疑問なように思います。

オリジナル画像

コンポジット&処理前の画像およびレベル調整のみ行った画像です。M88は渦を巻いている様子がかろうじて分かりますが、M91は腕が淡くて構造までは分かりません。

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