M98, M99(系外銀河、かみのけ座)
撮影日時 | 2024年3月10日 |
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撮影機材 | ED103S+SDフラットナーHD(D103mm, f811mm)、ビクセン SXP赤道儀 |
使用カメラ | ZWO ASI2600MC Pro |
ガイド鏡 | ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm) |
オートガイダー | ZWO ASI120MM |
感度・露出時間 | -20℃, Gain=100, 露出300秒×24コマ |
備考 | IDAS LPS-D1フィルター使用 |
かみのけ座にある系外銀河です。星座の区分的にはかみのけ座にありますが、いずれも「おとめ座銀河団」の一員です。
M98は、渦巻銀河をかなり傾いた位置から眺めた形となっています。
この銀河で特徴的なのは、他の多くの銀河が宇宙の膨張に従って遠ざかっているのに対し、約140km/sという速度で私たちの銀河に近づいてきている点です。これは、この銀河が銀河団とは別に大きな固有速度を持っていることを示しています。この速度から逆算すると、約7億5000面年前、現在では約130万光年離れているM99と相互作用した可能性があります。
M99は渦巻をやや斜めから見下ろした形の銀河です。腕がかなりはっきりしていて、歴史上、M51に次いで渦巻構造が観察された銀河でもあります(1846年、第3代ロス伯爵ことウィリアム・パーソンズ(72インチ望遠鏡、通称「パーソンズタウンのリヴァイアサン」で有名)による)。
M99は腕の1本が大きく開いていますが、これはなんらかの重力作用によるものと考えられています。有力な候補の1つは上でも触れたM98との接近なのですが、2005年に「VIRGOHI21」(「VIRGO・HI・21」と読みます。VIRGO(ヴィルゴ)はおとめ座のこと、HI(エイチ・ワン)は中性水素のこと、21は中性水素原子が放射する波長21cmの電磁波を指します)と呼ばれる天体がM99の伸びた腕の先に見つかり、腕の歪みはこれの影響なのではないかという説が出てきました。VIRGOHI21は恒星を含まず、そのほとんどが中性の水素を含む暗黒物質(ダークマター)からできている天体で、初の「暗黒銀河」の候補として注目されています。
ただ、VIRGOHI21の素性については、M98とM99とが接近したときに潮汐作用で放出された物質に過ぎないのではないか、といった異論もあり、いまだ議論が続いています。
オリジナル画像
コンポジット&処理前の画像およびレベル調整のみ行った画像です。レベル調整を行うと、M99の腕も意外と見えてきます。