光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

M78(散光星雲、オリオン座)

撮影日時 2017年1月21日
撮影機材 ビクセン ED103S+レデューサーED(D103mm, f533mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3
ガイド鏡 ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 ISO100, 露出600秒×8コマ
備考 IDAS/SEO LPS-P2-FFフィルター使用、中心部をトリミング

オリオン座にある小型の散光星雲(反射星雲)です。オリオン座にある散光星雲というと「オリオン大星雲」ことM42の存在感が大きすぎて、M78の方はその地味さも相まってつい忘れ去られがちです。しかし名前だけは「ウルトラマンの故郷」としてご存知の方も多いでしょう。

もっとも、企画段階では「M87星雲」だったのが、脚本印刷時のミスで「M78星雲」になってしまったというのは有名な話。M87はおとめ座にある系外銀河なので、知的生命体の住んでいる星があっても不思議ではないですが、M78はオリオン座付近に広がっている星間ガスを恒星が照らし出しているというもの。要は、単にガスやチリが多いだけの領域です。子供のころ、なんでウルトラマンの故郷をM78にしたのか不思議だったのですが、のちに上記の話を聞いて「そういうことか」と納得した次第です。

写真では星雲状に輝いている部分がいくつか見えますが、このうち、もっとも大きいのがM78で、そのほかの部分には個別にNGCナンバーが振られています。ただ、これらは実際にはひとつながりになっていて、暗黒星雲により分断されて見えているものです。

このM78に代表される「反射星雲+暗黒星雲」というのは、光害の激しい街なかからは撮影が非常に困難な被写体です。反射星雲は、文字通り星の光を反射しているだけなので特徴的な色を持たず、光害まみれのバックグラウンドから抽出するのが困難です。また、暗黒星雲は黒に近い色の微妙な階調を丁寧に表現する必要があり、これも大変難しいもの。実際、今回の撮影では、撮影時間帯が宵のうちで光害が酷かったこともあり、反射星雲の青みがかった輝きを抽出するのが精一杯でした。街なかから狙うなら、透明度の良い日に、光害が比較的落ち着く深夜を狙って丁寧に撮影・処理する必要がありそうです。

なお、今回はレデューサーをかませて、近くにある「バーナードループ」などを含めた構図にするつもりでしたが、強い周辺減光や光害カットフィルター由来と思われる背景の色ムラに悩まされ、画像の中央部しか使うことができませんでした。トリミングするくらいなら、最初から欲をかかず、M78単独をクローズアップで狙ってもよかったかもしれません。

オリジナル画像

コンポジット&処理前の画像です。M78の最も明るい中心部だけは、目を凝らすとかろうじて存在が識別できますが、それ以外は激しい光害に飲み込まれてほとんど分かりません。背景の色ムラや周辺減光も目立ちます。

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