光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

M36(散開星団、ぎょしゃ座)

撮影日時 2021年10月11日
撮影機材 ビクセン ED103S+SDフラットナーHD+レデューサーHD(D103mm, f624mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ ZWO ASI2600MC Pro
ガイド鏡 ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 0℃, Gain=0, 露出90秒×8コマ
備考 IDAS LPS-D1使用

冬の夜空高くに五角形を描くぎょしゃ座は、その真ん中を天の川が横切っていることもあって散光星雲や散開星団の宝庫です。

ぎょしゃ座の散開星団

特に有名なのは、五角形の中ほどに並んだ3つの明るい散開星団で、それぞれに特徴があって、見比べてみると楽しいものです。ここに示したのは、そのうちで五角形の最も内側にあるM36です。

M36のカタログ上での明るさは6.0等。見かけの大きさは約12分と比較的コンパクトですが、9等程度の明るめの星が集まっているので見ごたえがあります。地球からの距離は約4100光年で、ここから計算すると、星は直径約14光年の範囲に広がっていることになります。星団を構成する星の年齢は約2500万年と若いので、青い星が多いのも特徴です。

しかし、この星の色を出そうとすると意外と大変です。散開星団の写真を見ごたえのあるものにしようとすると、暗い星も含めなるべく多くの星を写したくなるのですが、そのために露出を増やすと星の色が真っ白に飛んでしまいます。かといって、露出を減らすと星の数が減りますし、レベル調整で暗い星まで浮かび上がらせようとすると、やはり星像が白飛びしてしまいます。

そこでここでは、低ゲイン、短時間露出で撮影段階で色情報を落とさないようにした上で、処理段階においてレベル調整で微光星を強調、そしてデジタル現像の段階で色彩強調を行っています。このプロセスはあくまでもデジタル現像の一環なので、その効果は階調圧縮がかかる領域……つまり恒星などの輝度の高い部分に優先的に表れます。これによって、星の色がハッキリした星団の写真になります。

都心で撮った割には、まずまず見栄えのする仕上がりになったのではないかと思うのですが、どうでしょうか?

オリジナル画像

コンポジット&処理前の画像です。冷却CMOSカメラだと強調処理が一切ないので「撮って出し」だと真っ黒に見えますが、中心部に青っぽい星が群れているのがうっすらと分かります。

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