光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

M33(系外銀河、さんかく座)

撮影日時 2021年10月10日
撮影機材 ビクセン ED103S+SDフラットナーHD+レデューサーHD(D103mm, f624mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ ZWO ASI2600MC Pro
ガイド鏡 ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 0℃, Gain=100, 露出900秒×16コマ(カラー)+Gain=450, 900秒×8コマ(Hα)
備考 IDAS LPS-D1 & Astronomik Hα 6nm使用

アンドロメダ座の隣、さんかく座にある系外銀河です。「アンドロメダ銀河」M31とともに銀河系に最も近い系外銀河の1つ(距離約300万光年)で、銀河系を含めたこれらの銀河は「局部銀河群」と呼ばれる集団を形作っています。カタログ上の明るさは5.7等で、空の暗いところであれば肉眼で、街なかでも双眼鏡を使えば数字上は見えるはずなのですが、渦が正面を向いている「フェイスオン」と呼ばれる位置関係の銀河の常として大変淡く、数字の印象以上に観測しづらい対象です。

この対象は過去2回、2015年2016年にそれぞれ撮影していますが、1回目は絶対的な露出時間が短すぎて写りがイマイチ。2回目は露出時間を延ばしたおかげで腕こそ写ったものの、宵のうちの撮影で光害の影響が大きかったこと、にもかかわらず無理やり処理して不自然さが目立ってしまったこと、また特徴的なHα領域が白飛びしてしまっていたのが残念な点でした。

そこで今回は、銀河の高度が上がり、光害の影響も軽くなる深夜~明け方にかけて銀河本体を撮影。一方、Hα領域についてはナローバンドフィルターを用いて別撮りし、合成することにしました。

Hα画像については、カラー画像のRチャンネルとそのまま置き換えようかとも思ったのですが、やってみるとあまりに不自然過ぎたので、Rチャンネルと「比較明合成」でブレンドし処理しました。結果として、自分で言うのもなんですが、東京都心で撮ったとはにわかに信じられないほど、いい写りになりました。M33は星形成が盛んで若い星が多く、一般的な銀河と比べると青っぽいのですが、その色も出ていますし、課題だったHα領域もハッキリそれと分かります。個人的には、都心でここまで写ってくれれば大満足です。

ちなみに、M33の左上側に見えるひときわ明るいHα領域ですが、M33とは独立してNGC604というカタログ番号が与えられています。目に見える部分の比較ではオリオン大星雲の40倍近い広がりを持ち、明るさは実にオリオン大星雲の6300倍という凄まじさで、局部銀河群最大のHα領域と言われています。もしこれが銀河系内にあったら、それはもうものすごい眺めになったことでしょう。

オリジナル画像

コンポジット&処理前のカラー画像です。この時点では、光害に飲まれたこともあってか銀河の中心部がかろうじて分かるかどうかといったところで、腕などは全く見えません。

こちらはコンポジット&処理前のHα画像です。光害が軽減されることもあってか、こちらは銀河中に散在するHα領域がハッキリと見て取れます。

<< 前のページに戻る

↑ PAGE TOP