光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

亜鈴状星雲 M27(惑星状星雲、こぎつね座)

撮影日時 2022年10月1日
撮影機材 セレストロン EdgeHD800(D203mm, f2032mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ ZWO ASI533MC Pro
ガイド鏡 セレストロン オフアキシスガイダー使用
オートガイダー StarlightXpress Lodestar
感度・露出時間 0℃, Gain=500, 露出30秒×240コマ
備考 IDAS Nebula Booster NB1フィルター使用

こぎつね座にある大型の惑星状星雲です。見かけの大きさは8.0×5.7分角にもおよび、明るさも7.4等に達します。惑星状星雲として最初に発見された天体で、1764年、シャルル・メシエによって記録されました。以来、数多くの観測がなされ、現在では見かけの大きさが100年間に約6.8秒ほど大きくなっているのが確認されています。ここから逆算すると、星雲が膨張を始めたのは3000~4000年前と推定されています。

M27の中央には青白い星が見えますが、13等のこの星から過去に放出されたガスが、同じくこの星からの紫外線を受けて蛍光灯のように光っているのがM27の正体です。この光はガスの成分によって波長が決まっていますが、惑星状星雲の場合はその多くが酸素原子由来のOIII(青緑色:λ=496nm & 500nm)、水素原子由来のHα(赤:λ=656nm)およびHβ(青緑色:λ=486nm)で輝いています。そこで、これらの光のみを通すフィルターを用いて撮影すると、光害をほぼ完全にシャットアウトしたうえで、非常にコントラスト高く惑星状星雲を捉えることができます。

今回は、OIIIやHβ、Hαのみを選択的に透過するNebula Booster NB1フィルターを用い、冷却CMOSカメラで「高感度・短時間・多数枚露出」の方法で撮影してみました。この対象は過去にデジカメで何度か撮影していますが、細かい構造や周囲の淡いガスなど、今まで以上に良い写りになったかと思います。

オリジナル画像

コンポジット&処理前の画像です。焦点距離の長い鏡筒を使ったおかげで、星雲がかなり迫力のあるサイズで写ってくれました。非常に明るいため、F10という暗い鏡筒&30秒の露出でもしっかりと星雲の姿が分かります。

<< 前のページに戻る

↑ PAGE TOP