かに星雲 M1(超新星残骸、おうし座)
撮影日時 | 2024年3月10日 |
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撮影機材 | ED103S+SDフラットナーHD(D103mm, f811mm)、ビクセン SXP赤道儀 |
使用カメラ | ZWO ASI2600MC Pro |
ガイド鏡 | ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm) |
オートガイダー | ZWO ASI120MM |
感度・露出時間 | -20℃, Gain=100, 露出300秒×12コマ(カラー)+Gain=350, 300秒×12コマ(ナロー) |
備考 | IDAS LPS-D1 & Optolong L-Ultimate使用 |
おうし座にある、メシエ天体として唯一の超新星残骸です。書物によっては「惑星状星雲」に分類されていることもありますが、どちらも中心星からの電磁波で輝いているという点では同じものの、「惑星状星雲」が星の一生の最終期に放出された星の外層ガスから成るのに対し、「超新星残骸」は超新星爆発で吹き飛ばされた星の構成成分と周辺の星間物質が、超新星爆発後に残された中性子星からの強烈な電磁波を受けて輝いているもので、成因が全く異なります。かに星雲の場合、超新星爆発で吹き飛ばされたガスは現在も秒速1000km以上のスピードで広がりつづけているので、長年にわたって同機材・同条件で撮影を続けていると星雲が広がっていく様子が分かるかもしれません。
この星雲を形作った超新星は西暦1054年5月に起こったもので、藤原定家の日記「明月記」にこの超新星の記録が残っていたのは有名な話です。これを世界に紹介したのは日本のアマチュア天文家、射場保昭氏で、これを機に超新星爆発の研究が大きく進んだと言われています。
今回の写真では「かに星雲」の愛称の元になったフィラメントを強調するため、通常の光害カットフィルターに加え、L-Ultimateも併せて用いました。もっと真っ赤になるかと想像していたのですが、思った以上にOIIIの青が強く出た印象です。あとから調べたところ、かに星雲はSII由来の赤い色が強めらしいので、L-Ultimateがこれをカットしてしまったのが原因なのでしょう(L-UltimateはHαとOIIIしか通さない)。
オリジナル画像
LPS-D1フィルターを用いて撮影した、コンポジット&処理前の画像およびレベル調整のみ行った画像です。星雲内部の白っぽいモヤモヤがよく分かります。
こちらはL-Ultimateフィルターを用いて撮影した、コンポジット&処理前の画像およびレベル調整のみ行った画像です。こちらは対称的に、複雑なフィラメント構造がハッキリと見えています。