光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

野鴨星団 M11(散開星団、たて座)

撮影日時 2024年6月14日
撮影機材 ビクセン ED103S+SDフラットナーHD(D103mm, f811mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ ZWO ASI2600MC Pro
ガイド鏡 ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 -10℃, Gain=100, 露出60秒×24コマ
備考 ケンコー・トキナー PRO1D プロソフトン クリア(W)フィルター、ZWO UV/IRカットフィルター使用

たて座にある5.8等の明るく見事な散開星団です。散開星団の密集度としては最も高い部類に属し、約25光年の範囲内に約2900個もの星が寄り集まっています。ぱっと見では、集中度の弱い球状星団のように見えなくもありません。約6000光年のかなたにある天体で、メシエカタログに載っている散開星団の中では最も遠くにあります。

英語圏では、この密集した星々を「群れを成して飛んでいる鴨」に見立てて"Wild Duck Cluster"という愛称で呼んでいて、日本でもこれを直訳した「野鴨星団」という呼び方をされることがあります。

"A cycle of celestial objects"における記述
現在のわし座南部~たて座に相当する、現存しない星座「アンティノウス座」(属格Antinoi)に属していることになっているのに注意。

鴨の群れに見立てたのはイギリスの天文学者ウィリアム・ヘンリー・スミスで、1844年発行の"A cycle of celestial objects"という本に記述が見えます(上図赤線部)。どうやら、星団の北側(上)~西側(右)にかけての星の並びを「V字を描いて編隊飛行する鴨」に見立てたようなのですが、ちょっと想像力が豊か過ぎるような気もします。

この星団は天の川の濃いところにあるため、背景には微光星と暗黒星雲がたっぷりで、写真に撮るとにぎやかです。また、右上(北西)にあるオレンジ色の恒星HD174208と青いHD174005との取り合わせも、にぎやかさに花を添えています。

オリジナル画像

コンポジット&処理前の画像です。明るい星団とはいえ、レベル調整前のこの時点での写りはさすがに貧弱です。

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