レナード彗星(C/2021 A1)
撮影日時 | 2021年12月2日 |
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撮影機材 | ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG(D60mm, f298mm)、ビクセン SXP赤道儀 |
使用カメラ | ZWO ASI2600MC Pro |
ガイド鏡 | ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm) |
オートガイダー | ZWO ASI120MM |
感度・露出時間 | 0℃、Gain=100、600秒×8 |
備考 | IDAS LPS-D1フィルター使用、一部をトリミング |
レナード彗星(C/2021 A1)は、新年早々の2021年1月3日、レモン山天文台のGregory J. Leonardによって太陽から約5天文単位の位置で、19.0等の明るさで発見された彗星です。
軌道計算の結果、地球に最接近する12月中旬には、地球まで約0.23天文単位にまで近づくことから、3等程度にまで明るくなるだろうと予想されました。その後の明るさの推移はおおむね順調で、ピーク時の明るさ予想は4等前後とやや下方修正されたものの、久々に観測しやすい彗星となりました。
上の写真は12月2日の明け方、レナード彗星の姿を「彗星追尾」で捉えたものです。彗星は恒星とは異なる動きをするため、通常通りガイドを行うと、彗星の方が線を引いて写ってしまいます。特にレナード彗星の場合、地球との距離が近いために見かけの動きが大きく、影響は顕著です。そこで、あらかじめ彗星の動きを調べておいたうえで、その移動量に見合うだけガイドをわざとずらしながら撮影します。こうすることで、彗星だけがぴたりと止まった写真が得られるわけです。
このレナード彗星、写真を見ると思った以上にダストの尾が発達しています。写真を撮った時点で太陽との距離が1天文単位を切っていたので、水の蒸発が活発になっていたはずで、その影響かもしれません。
撮影日時 | 2021年12月4日 |
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撮影機材 | ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG(D60mm, f298mm)、ビクセン SXP赤道儀 |
使用カメラ | ZWO ASI2600MC Pro |
ガイド鏡 | ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm) |
オートガイダー | ZWO ASI120MM |
感度・露出時間 | 0℃、Gain=100、90秒×8 |
備考 | IDAS LPS-D1フィルター使用、一部をトリミング |
こちらは、レナード彗星(C/2021 A1)とりょうけん座の球状星団M3との接近を捉えたものです。もちろん「接近」といっても見かけ上のことで、当然両者の距離は全く違います。この時のレナード彗星までの距離は約0.43天文単位(約0.0000068光年)、M3までの距離は33900光年ですので、M3の方が実に約50億倍も遠くにあることになります。その両者がほとんど同じようなサイズ感で並んでいるのですから、宇宙の奥行きが感じられてなかなか面白いものです。
レナード彗星がM3の近くを通過したのは12月3日から4日にかけて。最接近は3日だったのですが、この日は天気がもうひとつで、4日の撮影となりました。位置的に彗星とM3とがそこそこ離れていたため、局所的に処理の具合を変えることができ、結果的に球状星団の粒状感を生かしつつ、彗星の尾が長く伸びているのも表現できたように思います。