光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

IC1396(散光星雲、ケフェウス座)

撮影日時 2020年8月19日
撮影機材 ミニボーグ55FL+レデューサー0.8×DGQ55(D55mm, f200mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ ZWO ASI2600MC Pro
ガイド鏡 ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 0℃, Gain=0, 露出900秒×12コマ(NB1)+1200秒×8コマ(Hα)
備考 IDAS NebulaBooster NB1 & Astronomik Hα使用

ケフェウス座にある散光星雲です。角度にして170分×140分ほど……直径で満月5~6個分もの広がりを持つ大型の散光星雲ですが、大変淡く、肉眼でその姿を見ることはできません。

そこでこの写真では、通常の撮影に加えて、Hα線のみを通すフィルターを用いたナローバンド撮影を行い、このHα像をL画像、通常撮影分をRGB画像としてLRGB合成を行い、仕上げてみました。この方法なら、光害に強くかつコントラストの高いHα像を十分に生かせます。ただ、LRGB合成の場合、惑星でもそうですが色合いが不自然になりがちで、この写真でも星雲がピンク~赤紫色で表現されてしまっています。そこは今後、もう少し改良していきたいところです。

なお、この星雲を一躍有名にしているのが、星雲の左上に見えるオレンジ色の星です。この星ははケフェウス座μ星で、3.4等~5.1等の間で周期的に明るさの変わる変光星です。太陽の1000倍ほどもの直径がある赤色超巨星で、肉眼で見える星の中では最も巨大なものの1つです。そのあまりの赤さから、ウィリアム・ハーシェルによって「ガーネットスター」の愛称が与えられています。この写真でも非常に存在感のある輝きを見せています。

ちなみにこの写真ですが、冷却CMOSカメラであるZWOのASI2600MC Proを初めて本格投入しています。一眼レフとは異なりミラーボックスがないため、周辺減光のパターンが素直で、フラット補正もかなり容易でした。今後、活躍が期待できそうです。

オリジナル画像

コンポジット&処理前の画像です。ガーネットスターのオレンジ色がポツンと目立ちますが、それ以外はほとんど分かりません。この星雲がいかに淡いかよく分かります。

こちらはコンポジット&処理前のHα画像です。透過する光の量が少なく一見真っ暗ですが、強調してみるとちゃんと星雲が写っています。

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