光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

Arp273(系外銀河、アンドロメダ座)

撮影日時 2022年10月2日
撮影機材 セレストロン EdgeHD800(D203mm, f2032mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ ZWO ASI533MC Pro
ガイド鏡 セレストロン オフアキシスガイダー使用
オートガイダー StarlightXpress Lodestar
感度・露出時間 モノクロ:0℃, Gain=400, 露出600秒×4コマ
カラー:0℃, Gain=200, 露出600秒×8コマ
備考 モノクロ:SIGHTRON IR640 Pro IIフィルター使用
カラー:IDAS LPS-D1フィルター使用

アンドロメダ座にある相互作用銀河です。「Arp」というのはアメリカの天文学者ホルトン・アープ(Halton Christian Arp)が編纂した系外銀河のカタログのことで、通常とは異なる形状をした系外銀河338個を収載して1966年に発表されました。このArp273はUGC1810とUGC1813という2つの系外銀河が相互作用している姿です。

宇宙のバラ
NASA, ESA and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA)

一般には、「宇宙のバラ」としてハッブル宇宙望遠鏡が撮影・公開した画像が有名でしょう。ここでバラの花に当たるのがUGC1810、茎がUGC1813です。銀河のサイズとしてはUGC1810の方が大きく、UGC1813がUGC1810の中を突っ切った結果、UGC1810の腕は大きく歪み、一方のUGC1813は爆発的な星形成が始まったものと考えられています。

地球からの距離は約3億光年。明るさはUGC1810が約14等、UGC1813が約15等しかありません。ということで、光害の影響をなるべく受けないよう、近赤外画像をL画像、通常のカラー画像をRGB画像としてLRGB合成してみました。天候の関係で、肝心のL画像がわずかしか取れなかったのですが、どうにかバラの姿が分かる程度には写ってくれました。

それにしても、今見えている光が出発したのは、地球で言うと石炭紀~ペルム紀の頃。そんな光を、都心の光の洪水の中からアマチュア機材で捉えられるというのはまさにロマンです。

オリジナル画像

コンポジット&処理前の赤外画像です。撮影できた枚数は少なかったのですが、撮って出しの段階でこれだけ写っていれば、あとはどうにでもなります。

一方、こちらがコンポジット&処理前のカラー画像です。赤外画像とは撮影時のゲインが違うこともあって暗く写っていますが、全体の輝度を同程度にそろえても銀河の写りはかなり悪く、赤外線撮影のの威力を感じます。

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