光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

天体望遠鏡はいる?いらない?

天体観測といえば望遠鏡?

最近、ニュースなどで天文現象の話題が取り上げられることも多く、「なんとなく気になる」という人も含めれば、星に興味を持つ人は結構多いのではないかと思います。

しかし、これまで星に興味のなかった人が天体観測・観望をやろうと思った場合、「天体望遠鏡がないと天体観測はできない」と思い込んで最初からあきらめたり、あわてて子供だましの粗悪品に手を出して後悔する場合が往々にしてあるようです。

どこぞの歌ではないですが、天体観測といえばもっぱら天体望遠鏡をのぞきこんでいるイメージばかりが先行しているせいだと思いますが、実際のところ、望遠鏡なんかなくても天体観測はできますし、なかには肉眼のほうが向いている観測もあるのです。

天体望遠鏡でできること

天体望遠鏡の役割は、大きく分けると実は2つしかありません。

  • 遠くの小さなものを大きく拡大する。
  • 淡い光を集め、肉眼では見えない暗いものを見えるようにする。

これだけです。逆に言えば「拡大する必要がなく」「肉眼でも明るく見える」ものであれば、望遠鏡を使う必要なんかないわけです。

たとえば……

流星の観測
よくニュースになるペルセウス座流星群をはじめ、流星を見るのに望遠鏡は不要…どころか、望遠鏡では空のごく狭い範囲しか見られないので、空のどこに飛ぶかわからない流星を見るにはかえって邪魔でしかありません。
明るい彗星
まれに肉眼で明るく見えるような大彗星が現れることがありますが、この場合も望遠鏡はほぼ不要です。こうした大彗星は尾が大きく広がっていることが多く、望遠鏡では全体を見ることができません。中心部を拡大して見るのもそれはそれで面白いですが、彗星は、やはり長く伸びた尾を含めた全体を見てこそだと思います。
日食・月食
日食を日食グラスを通して見たり、皆既月食を眺めたりした方も多いと思いますが、あれも立派な天体観測です。望遠鏡を使えば拡大されて見やすくはなりますが、周囲の変化も含め、肉眼での観測には何物にも代えがたい迫力があります。

……といったあたり。ニュースになるような天文現象は、意外と望遠鏡なしでも見られるものです。何が何でも望遠鏡、という固定観念をまずは捨てましょう。

天体観望はじめの一歩

今まで夜空をあまり見上げたことがないという人は、まずは星座や星の名前を覚えるあたりから始めてみましょう。今後、双眼鏡や望遠鏡を使う場合でも、最低限の星の知識は必要です。

星座や星を実際の夜空と照らし合わせるには、星座早見盤が便利です。最近ではスマートフォン向けの星座表示アプリがあり、こうしたものを使うのもよいでしょう。スマートフォンを向けた方向の夜空を表示してくれるので、星の名前などをてっとり早く知るのには便利です。ただ、星座早見盤の方が星座のお互いの位置関係などを掴みやすく、時間や季節とともに星が動いていくのも直感的に理解できるので、個人的にはこちらのほうがお勧めです。

星座早見盤(左)とスマートフォンアプリ(右、アストロアーツ スマートステラ)
星座早見盤は写真のような紙でできたものから金属製の立派なものまで色々ありますが、簡単なものでもあれば便利です。スマートフォンアプリは、GPSや方位センサ、加速度センサによって向きを検出し、その方向に見える星を表示してくれます。

なお、スマートフォンは画面が明るいため、下手に暗いところでアプリを使うと目がくらみ、星が見えづらくなってしまうことがあるので要注意。同様の理由で、星座早見盤を見るためなどで手元を照らす時は、目がくらまないよう赤い光を使います。

赤く光るヘッドライト
人間の目は、暗闇に慣れるとかすかな光を捉えるために瞳孔が大きく開きますが、ここに明るい光が当たるとせっかく開いた瞳孔が絞られてしまい、元の状態に戻るのに数十分かかってしまいます。しかし赤い光を使うと、これを緩和することができます。写真は私が普段使用しているEnergizerのHDL-3LED-JN(販売終了品)。このようなヘッドライトを使うと、両手が自由になるので何かと便利です。

星を見るのには月明かりのない夜が最適です。特に満月前後は夜空が明るく照らされて、星が見えなくなってしまいます。意識していないと気づきませんが月は意外と明るいものです。

街灯や家の明かりなどがなるべく目に入らない場所で、空を見上げてみてください(どうしても明かりが目に入ってしまう場合は、手をかざして直接光を遮るだけでもずいぶん違います)。街なかだと、街明かりのせいで空全体が明るく(「光害」といいます)、星なんてほとんど見えないかもしれません。それでも暗さに目が慣れてくるにつれ、光害のひどいところでも2~3等星くらいまでは見えてくるはずです。

空の暗いところと比べると実にショボい空ですが、実は初心者にとって1つ有利な点が。田舎では星がたくさん見えすぎて、どれがどの星だか分からなくなりがちですが、都会では明るい有名な星、星座しか見えないので迷いようがありません。星座早見盤などと照らし合わせて、下の表の星座と星、星の並びくらいは、少しずつでいいのでぜひ覚えておきましょう。

1等星を含む星座
(カッコ内は1等星の名前)
しし座(レグルス)、おとめ座(スピカ)、うしかい座(アークトゥルス)、さそり座(アンタレス)、こと座(ベガ)、わし座(アルタイル)、はくちょう座(デネブ)、みなみのうお座(フォーマルハウト)、おうし座(アルデバラン)、オリオン座(ベテルギウス、リゲル)、おおいぬ座(シリウス)、こいぬ座(プロキオン)、ぎょしゃ座(カペラ)、ふたご座(ポルックス)
特徴的な星の並び 春の大三角(デネボラ(しし座の2等星)~スピカ~アークトゥルス)、北斗七星(おおぐま座の尻~尾の部分)、春の大曲線(北斗七星~アークトゥルス~スピカ)、夏の大三角(ベガ~アルタイル~デネブ)、南斗六星(いて座の一部。都会だと肉眼では難易度高めなので、最悪、知識として)、秋の四辺形(ペガスス座の胴体部分)、冬の大三角(ベテルギウス~プロキオン~シリウス)、冬のダイヤモンド(カペラ~アルデバラン~リゲル~シリウス~プロキオン~ポルックス)
そのほか、覚えておいた方が便利な星、星座 北極星カシオペヤ座(W字形が特徴的。北極星を見つけるのに使える)、アンドロメダ座(アンドロメダ大星雲で有名。秋の四辺形とひとつながりになっている)、カストル(ふたご座の2等星。ポルックスと並んでいる)
黄道十二宮 おひつじ座、おうし座、ふたご座、かに座、しし座、おとめ座、てんびん座、さそり座、いて座、やぎ座、みずがめ座、うお座
(目立たない星座も多いですが、順番とだいたいの位置の雰囲気を覚えておくだけでも便利。太陽、月、惑星はおおよそこれらの星座の中を通っていきます)
クリックすると大きな星図が開きます。

星座を覚えると、夜空の見え方が違ってきます。見える星座で季節の移り変わりを感じ取れるようになったり、惑星の動きに気付けるようになってきたら、もう立派な天文ファンの卵です。また、星座の多くはギリシア神話と深い関係があって、そうしたものを追いかけてみるのも楽しいものです。中にはそのまま神話や民俗学の勉強にのめりこんで行って戻ってこない人もいますが、それもまた良し。星の楽しみ方は人それぞれです。

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