ふくろう星雲 M97とM108(M97: 惑星状星雲、M108: 系外銀河、おおぐま座)

撮影日時 | 2025年2月24日 |
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撮影機材 | ビクセン ED103S+SDフラットナーHD(D103mm, f811mm)、ビクセン SXP赤道儀 |
使用カメラ | ZWO ASI2600MC Pro |
ガイド鏡 | ペンシルボーグ(D25mm, f175mm) |
オートガイダー | ZWO ASI120MM |
感度・露出時間 | -20℃, Gain=100, 露出300秒×7コマ |
備考 | IDAS LPS-D1フィルター使用 |
おおぐま座にある惑星状星雲M97と系外銀河M108を同一写野に入れた構図で捉えてみました。両者は0.8度ほどしか離れておらず、APS-Cカメラに焦点距離800mm程度のレンズで定番の構図と言えます。
この対象は2017年5月にも撮影していますが、そもそも北天にあって撮影場所からは光害が酷いこと、そしてデジカメの性能限界もあり、かなり物足りない写りでした。冷却カメラでこのあたりが克服できればというところでしたが、わずか35分間の露出にもかかわらず、想像以上にしっかりと写ってくれました。
M97(左下)は距離2600光年の位置にある惑星状星雲です。暗い部分が2つ並んでいる姿がフクロウの顔のように見えることから「ふくろう星雲」の愛称があります。このユニークな姿は、円柱状に広がるガスを斜めから見ているためと考えられます。2つの暗い部分は、ガスが薄い円柱の両端というわけです。
一方のM108(右上)は距離3300万光年の所にある渦巻銀河。星形成が活発に行われているいわゆる「スターバースト銀河」で、写真だとちょうどM82のような見た目です。もっとも、M82はハッキリした構造を持たない「不規則銀河」であるのに対し、こちらは渦巻銀河を横から見ている姿です。
ところで、M97は距離2600光年で銀河系内の天体、M108は距離3300万光年の系外銀河で両者の距離の差は1万倍以上違います。さらにM108の真東(左側)、写真の縁ちかくに小さく見える系外銀河NGC3594は4億8600万光年ものかなたにある天体です。つまり、この写真には少なくとも20万倍も距離の違う天体が同時に写っているわけで、その奥行きを考えると宇宙の広さが実感されます。
オリジナル画像

コンポジット&処理前の画像およびレベル調整のみ行った画像です。両者ともメシエ天体の中でも最も暗い部類の天体だけに、強調前ではその姿は全く分かりません。レベル調整するとようやく姿が現れますが、北に渋谷、新宿を控えているだけに光害が激烈で、未処理では背景のムラがかなり目立ちます。。