光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

M94(系外銀河、りょうけん座)

撮影日時 2024年5月3日
撮影機材 ED103S+SDフラットナーHD(D103mm, f811mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ ZWO ASI2600MC Pro
ガイド鏡 ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 -10℃, Gain=100, 露出300秒×76コマ
備考 IDAS LPS-D1フィルター使用

りょうけん座にある渦巻銀河です。「渦巻銀河」の割に渦巻はあまり目立たず、中心部をリング状に取り巻くように星形成領域が広がっています。また、本体の外側には淡いリング状の構造が取り巻くという非常に特異な姿をしています。

このM94は「LINER」(Low-Ionization Nuclear Emission-line Region:低電離中心核輝線領域、ライナー)と呼ばれる活動的な核を持つ銀河です。星形成も活発で、上で書いたように星形成領域がリング状に取り巻いていますが、これは銀河内部の棒状構造が回転することで、ガスの供給を促しているためと考えられています。

外側にある淡いリング構造は、可視光の写真では本当に閉じた輪っかのように見えますが、近年の中赤外線や紫外線での観測から、M94本体から続く「腕」であることが明らかとなりました。この腕の中でも活発な星形成が行われていて、銀河の新しい星の約10%がここに含まれていると言われています。かつては、その特異な姿から、他の銀河との衝突の結果とも思われていましたが、どうやら銀河自体の個性によるもののようです。

しかし、銀河の全恒星質量の約23%を含むと言われるこの外側リング、銀河本体に比べると極めて淡く、炙り出しには相当苦労しました。存在は確実に分かるのですが、ハッキリ見える姿になかなかならない……。最終的には、やむをえず中心部をマスクした上で強調処理をかませています。

部分的にコントラストやトーンカーブを弄るのは、「科学写真」の観点からするとまったくもって望ましいことではないのですが、もうそこは割り切るしかないでしょう。

オリジナル画像

コンポジット&処理前の画像およびレベル調整のみ行った画像です。M94は中心部への集光が非常に強く、レベル調整前でも存在がハッキリ分かります。しかし一方で、外側のリングは強調後もほとんど分かりません。

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