おとめ座銀河団中心部:マルカリアンチェーン M84, M86, M87ほか(系外銀河、おとめ座)
撮影日時 | 2017年4月28日 |
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撮影機材 | ミニボーグ60ED+マルチフラットナー 1.08×DG(D60mm, f378mm)、ビクセン SXP赤道儀 |
使用カメラ | Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3 |
ガイド鏡 | ペンシルボーグ(D25mm, f175mm) |
オートガイダー | ZWO ASI120MM |
感度・露出時間 | ISO100、600秒×8コマ |
備考 | IDAS/SEO LPS-P2-FFフィルター使用 |
おとめ座の方向、約6500万光年離れたところに系外銀河の大集団「おとめ座銀河団」があります。そのメンバーは千数百~二千個にもおよぶといわれていて、私たちの銀河系を含め50個ほどの銀河が寄り集まった「局部銀河群」と比べるとはるかに大きな集団です。
この「おとめ座銀河団」は、さらにM87を中心としたグループ、M84を中心としたグループ、M49を中心としたグループの3つに大きく分けられますが、この写真にはM87とM84の両方が写っていて、まさに銀河団の中心部を捉えた構図になっています。実際、写野の中に入っている銀河の数はかなりのもので、メシエカタログやニュージェネラルカタログ(NGC)、インデックスカタログ(IC)でナンバリングされているものに限っても、全部で70個近くに達します。個々の銀河の視直径が小さい上に、色彩に乏しいので写真としては地味ですが、拡大してじっくり見ていくと私たちの銀河系と同じような天体が沢山写っているわけで「この中に知的生命体の住んでいる星があるんだろうか」とか「向こうからもこちらを同じように観察していたりするんだろうか」など、想像が膨らみます。
盗用等の危険があるのでここにはオリジナルサイズの画像をアップロードしませんが、写真を解析して、写っている天体を同定してくれるオンラインサービスAstrometry.netで注釈を入れて1/2に縮小したものを上げておきます。
この写真の中で目を引くのは、中央付近に見える、緩くカーブを描いた銀河の連なりです。
これらの銀河が共通の固有運動をしていることを指摘したアルメニアの宇宙物理学者ベニヤミン・マルカリアンにちなみ、この集団は「マルカリアンチェーン」と呼ばれています(マルカリアンのことを「アメリカの宇宙物理学者」と紹介している記事をしばしば見かけますが「アメリカの(American)」ではなく「アルメニアの(Armenian)」人です)。
鎖を構成する銀河は、そのうちの少なくとも7つは共通する固有運動をしているとのこと。つまり、これらは見かけ上近くに見えているわけではなく、実際にそれなりの近距離にあるということです。なんともすごい構造があったものです。
オリジナル画像
コンポジット&処理前の画像です。光害のため眼視ではまったく見えませんでしたが、写真では個々の銀河の存在が意外と分かります。