光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

M59, M60(系外銀河、おとめ座)

撮影日時 2019年2月2日
撮影機材 ビクセン ED103S+SDフラットナーHD(D103mm, f811mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3
ガイド鏡 ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 ISO100, 900秒×8コマ
備考 RGB: IDAS/SEO LPS-P2-FFフィルター使用

M59、M60ともに「おとめ座銀河団」に属する楕円銀河です。写真の右側がM59、左側がM60になります。M60にはすぐそばに渦巻銀河のNGC4647が寄り添っています。

M59は一般的な楕円銀河ですが、その中心部に太陽質量の2.7億倍もの超大質量ブラックホールが存在していることが知られています。また、従えている球状星団の数も多く、およそ2200個前後にも達します。

一方のM60の方は「おとめ座銀河団」のなかで3番目に明るく、直径は12万光年、質量は太陽の1兆個分もあります。また、その中心にある超大質量ブラックホールは太陽45億個分と、同種の天体としては最重量級です。銀河系と同程度の大きさの渦巻星雲NGC4647がすぐそばに寄り添っていて、「子持ち銀河」M51をほうふつとさせる姿をしています。

もっとも、両者が実際に近接しているかどうかは議論がありました。しかし、ハッブル宇宙望遠鏡のデータをもとにした研究から、両者の間で潮汐作用が始まっていることが分かり、2つは見かけだけでなく実際に近接していることが明らかになりました。

ところで、この写真にはちょっと変わった天体が写り込んでいます。

上の写真でマーカーを付けた天体ですが、一見ただの星のようにしか見えません。ところがこれ、なんと銀河なのです。

それぞれM59cO、M59-UCD3、M60-UCD1と名付けられていて、いずれもM59またはM60のすぐ近傍に位置しています。それだけならただの伴銀河なのですが、実はこれらの銀河では、普通の銀河ではありえないほどの密度で星が密集しています。

この種の銀河が発見されたのは2000年代に入ってからと意外に新しいのですが、もちろん天体自体が知られていなかったわけではありません。こんな高密度の銀河など完全に想定外で、長いことただの星と思われていたのです。このような銀河にはUltraCompact Dwarf galaxy(UCD、超コンパクト矮小銀河)という新しい分類名が与えられています。

こんな風変わりな天体が生まれた理由ですが、元々はずっと大きな銀河だったものが、M59やM60に接近したことで星をはぎ取られ、中心部分のみが残ったものではないかと考えられています。

オリジナル画像

コンポジット&処理前の画像です。集光の強い楕円銀河だけに、M59、M60ともに存在がハッキリわかります。M60の右上にはNGC4647も見えています。

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