M58, M89, M90(系外銀河、おとめ座)
撮影日時 | 2021年2月20日 |
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撮影機材 | ビクセン ED103S+SDフラットナーHD+レデューサーHD(D103mm, f624mm)、ビクセン SXP赤道儀 |
使用カメラ | ZWO ASI2600MC Pro |
ガイド鏡 | ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm) |
オートガイダー | ZWO ASI120MM |
感度・露出時間 | -20℃, Gain=0, 露出900秒×16コマ |
備考 | IDAS LPS-D1フィルター使用 |
おとめ座の系外銀河密集地帯に存在する銀河で、いずれも「おとめ座銀河団」のメンバーです。M58、M89、M90ともそれぞれ形態が異なり、写真に撮ると楽しい領域です。背景には小さな銀河も多数写り込んできます。
「Astrometry.net」でメシエ、NGC、ICに限って同定しただけでもご覧の通り。PGC(Principal Galaxies Catalog)に収載の系外銀河などまで対象を伸ばすと、さらに凄まじい数になります。こういうのを1つ1つ拾い上げて調べてみるのも楽しいものです。
M58は棒渦巻銀河で、おとめ座銀河団の銀河の中では最も明るく見えるものの1つです。中心部には太陽の7000万倍もの質量がある超大質量ブラックホールがあると言われています。
M89は楕円銀河ですが、ほとんど球形で、恒星をボカしたようにに見えます。本当は楕円形をしているものの、長軸がこちら側に向いているために見かけ上、球形に見えるだけとも言われていますが、明確な結論は出ていません。
M90は渦巻銀河。おとめ座銀河団の中では最も明るく大きい渦巻銀河の1つで、その絶対光度は-22等と、アンドロメダ銀河M31(絶対等級-21.5等)を上回ります。また、一般に、系外銀河は宇宙の膨張に伴って銀河系から遠ざかるような動きをするものですが、このM90に限っては秒速約280kmという速度で銀河系に近づいていることが分かっています。同じ銀河団の中でも、速度の分布は非常に幅広いという証拠でしょう。
さて今回の撮影ですが、条件はおおむねいつもと同様。ただし、時間が余ったのでコマ数は余分に重ねてあります。系外銀河は光害に飲まれやすく、撮影が厄介なことが案外多いのですが、そもそもが比較的明るい銀河だったこと、コマ数を増やしたことなどが奏功して、まずまずよく写ったのではないかと思います。
オリジナル画像
カメラで撮ったままの画像です。冷却CMOSカメラの場合、強調処理は一切行われないので撮ったままの画像は暗いですが、よく確認すると銀河の核がごくうっすらとですが確認できます。