光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

子持ち銀河 M51(系外銀河、りょうけん座)

撮影日時 2021年3月10日
撮影機材 ミニボーグ55FL+レデューサー0.8×DGQ55(D55mm, f200mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ モノクロ:ZWO ASI290MM
カラー:ZWO ASI290MC
ガイド鏡 ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 モノクロ:Gain=110, 300秒×8コマ
カラー:Gain=110, 180秒×13コマ
備考 モノクロ:OPTOLONG Night Sky H-alphaフィルター使用
カラー:OPTOLONG UV/IRカットフィルター使用

「子持ち銀河」の愛称で知られる、りょうけん座の渦巻銀河です。一般に、渦巻が正面を向いている「フェイスオン」の銀河は淡くて観測・撮影が難しいものが多いのですが、この銀河は例外的に明るく、街なかからでも比較的容易に撮影が可能です。今回は、この対象について赤外線によるモノクロ画像をL画像、通常のカラー画像をRGB画像としてLRGB合成してみました。

赤外線は皆さんご存知の通り、赤よりもさらに長波長側の光で、人間の目には見えません。しかし、太陽光に赤外線が含まれているのと同様、系外銀河も赤外線を発しています。そして「目に見えない」という特性からして、光害の成分に含まれることはほとんどありません。また、光害は「照明などの光が大気中で散乱したもの」なわけですが、この散乱は短波長の光ほど強く起こることが知られています。その意味でも、光害に赤外線成分は少ないはず。つまり、赤外線しか通さないフィルターを使って撮影すれば、都心であっても光害の影響をほとんど気にせず撮影可能なわけです。特に系外銀河の場合、散光星雲などと違って特徴的な波長で輝いているわけではなく、通常の光害フィルターのみで銀河の光のみを分離するのが難しいので、この方法はかなり有効です。

今回、赤外線撮影には普段惑星撮影で使用しているASI290MM、カラー撮影には同じく惑星撮影で使用しているASI290MCを利用しました。これらのカメラはフォーマットが1/3型(5.6mm×3.2mm)と小さいため、使用する鏡筒には焦点距離が短く明るいミニボーグ55FL+レデューサー0.8×DGQ55(口径55mm、焦点距離200mm)を選択。また、赤外線を捉えるためのフィルターには、シーイング軽減の目的で所有していたOPTOLONGのNight Sky H-alphaフィルターを用いました。

撮ってみると、赤外画像の方は光害カブリがほとんど見られず、銀河もコントラスト良く浮かび上がっています。これをLRGB合成した結果も良好で、子銀河であるNGC5195周辺のガスもしっかり確認できます。これまでF値の暗いEdgeHD800での撮影では表現が難しかった部分ですが、これほど小型軽量のシステムでここまで写ってしまうと、存在意義自体が問われかねません。まさにゲームチェンジャーと言ってしまっていい結果かと思います。

オリジナル画像

コンポジット&処理前の赤外画像です。F値が明るいのも手伝って、僅か5分の露出でここまで写っています。また、背景の光害カブリもほとんど気になりません。

一方、こちらがコンポジット&処理前のカラー画像です。光害カットフィルターを使っていないこともあり、露出時間を短めにしているにもかかわらず、背景レベルが大きく上がってしまっています。銀河の写りも良くありません。

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