光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

子持ち銀河 M51(系外銀河、りょうけん座)

撮影日時 2023年3月19日
撮影機材 EdgeHD800(D203mm, f2032mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ ZWO ASI2600MC Pro
ガイド鏡 セレストロン オフアキシスガイダー使用
オートガイダー StarlightXpress Lodestar
感度・露出時間 -20℃, Gain=200, 露出300秒×72コマ
備考 IDAS LPS-D1フィルター使用

りょうけん座にある、有名な渦巻銀河です。渦巻星雲を真上から見た姿をしていて、その腕の先にNGC5195という小さな銀河がぶら下がっていることから「子持ち星雲」という愛称がついています。両者は実際に近接していて、その相互作用によりNGC5195は大きくその形がゆがめられています。チリの位置関係から、NGC5195はM51の背後に横たわっているものと考えられています。地球からの距離はおよそ2300万光年。

銀河の渦巻構造が初めて確認された(1845年)銀河でもあり、口径72インチの大望遠鏡によるロス卿の見事なスケッチが残っています。

ロス卿によるM51のスケッチ(1845年)

渦巻が正面を向いている、いわゆる「フェイスオン」の銀河は淡いものが多く、撮影に苦労するのが常なのですが、このM51は例外的に都心からでも撮りやすい対象です。力強い2本の腕や暗黒帯が目立って迫力がありますが、今回はそれに加えて、NGC5195との相互作用で形成された王冠状の潮汐尾まで写っています。トータルの露出時間が6時間にわたったので、その威力でしょう。

ちなみに、春の系外銀河を撮ると、たいてい背景に粉のように細かい系外銀河が写りこみますが、この写真もご多分に漏れず、多数の系外銀河が写りこんでいます。

クエーサー SDSS J132903.44+470230.5
右は、当該箇所のDSS(Digitized Sky Survey)のデータ。

なかでも興味深いのは、写真右下にあるSDSS J132903.44+470230.5という天体。ただの系外銀河ではなく、遥か彼方にあるクエーサーです。その赤方偏移zは約1.826……約138億年前の宇宙誕生からわずか36億年後の光を捉えていることになります。明るさは19.5等前後ですが、これほど離れた天体がこんな明るさで見えること、そして東京都心からアマチュアの機材で捉えられるというのは、色んな意味でなかなかすごいことだと思います。

オリジナル画像

コンポジット&処理前の画像およびレベル調整のみ行った画像です。明るい銀河だけに、レベル調整前でもM51とNGC5195の中心部が確認でき、レベル調整を施すと渦巻がハッキリと視認できます。

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