光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

おうし座全景

撮影日時 2020年11月15日
撮影機材 SIGMA 18-50mm F3.5-5.6 DC(f18mm, F3.5)、SkyWatcher AZ-GTiマウント
使用カメラ Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3
ガイド鏡 ノーブランドCCTVレンズ(f25mm, F1.4)
オートガイダー ZWO ASI120MC
感度・露出時間 ISO100, 露出120秒×8コマ
備考 ケンコー・トキナー PRO1D プロソフトン[A](W), IDAS/SEO LPS-P2-FF使用

これまで私は、撮影場所が光害の激しい東京都心ということもあって、星野撮影についてはほぼ諦めていました。というのも、星野写真は星の色や数がストレートに響いてきますし、広角で撮ると光害の処理が難しそうで、さすがに東京都心ではそこまできれいには仕上げられないだろうと思っていたからです。また、そもそもメイン機材以外に同時展開できるカメラや架台がなく、撮影が実質不可能だったというのもあります。

しかし、AZ-GTiマウントを入手し、その赤道儀化が可能になったこと、冷却CMOSカメラの購入によって天文改造デジカメが浮いたこと、ASI120MCのガイドカメラへの流用の目途が立ったことなどから、ダメ元で一度チャレンジしてみることにしました。

ターゲットはおうし座。もしきれいに撮れれば、丑年である2021年の年賀状に使ってやろうという腹もありました(笑) レンズには、以前中古で3000円ほどで購入したシグマの18-50mm F3.5-5.6 DCを使用。いわゆる「撒き餌レンズ」の類の安価なレンズで、星に対して使うのは初めてです。これの性能を一度見てみたいというのも撮影動機の1つです。フィルターはマウント内の光害カットフィルターLPS-P2-FFに加え、レンズ前面に星野・星景写真用として利用者の多いPRO1D プロソフトン[A](W)を装着しています。

こうして撮ったのが冒頭の写真ですが、思いのほかよく写ってくれたなという印象です。

写真内の主な天体(クリックで拡大)

よく見ると、カリフォルニア星雲(NGC1499)やモンキー星雲(NGC2174)も写っています。星の色を出すためにソフトフィルターを噛ませているため、細部はとても分かりませんが、存在が確認できるだけでも立派なものです。また、性能を期待していなかった18-50mm F3.5-5.6 DCですが、絞り開放で撮っているにもかかわらず極端な星像の崩れもなく、想像以上に優秀でした。惜しかったのは、この日オリオンの脇の下付近にいたアトラス彗星(C/2020 M3)が写っていない点で、ソフトフィルターのせいでそもそも像がにじんでいるはずなのに加え、光害カットフィルターや画像処理の巻き添えを食って消えがち、面積があって等級の数字ほど明るくない……あたりが原因じゃないかとは思ってます。

とはいえ、普段こんな場所で星雲などの写真を撮っといて言うのも難ですが、正直、格安レンズ&東京都心で星野写真がここまでモノになるとは全く期待していなかったので、嬉しい誤算でした。これなら、今後もそれなりに楽しめそうです。

オリジナル画像

処理前画像です。さすがに都心だけに背景は明るく、星もわずかな数しか見えません。ここからどう炙り出すか、腕の見せ所です。

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