光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

中接近の火星

撮影日時 2016年5月28日
撮影機材 セレストロン EdgeHD800+Meade 3x TeleXtender(D203mm, f6096mm)、ビクセンSXP赤道儀
使用カメラ モノクロ:ZWOptical ASI120MM
カラー:ZWOptical ASI120MC
露出時間 モノクロ・カラー:約90秒, 約30fps
その他 モノクロ:約1200フレームをAutostakkert!2でスタック後、Registax6でウェーブレット処理
カラー:約2400フレームをAutostakkert!2でスタック後、Registax6でウェーブレット処理
得られたモノクロ、カラーの画像をステライメージ7でLRGB合成

2016年5月28日に撮影した、いわゆる「中接近」のときの火星です。

地球のすぐ外側を回っている火星は、太陽の周りを687日かけて回ります。地球は365日で一周しますから、つまり地球は常に火星に追いつき、追い越すということを繰り返しているわけです。この、地球が火星を追い越すとき……つまり火星と地球、太陽が一直線に並ぶときには、火星と地球との距離が近づくため、観望の絶好のチャンスとなります。このような現象は約780日=約2年2ヶ月ごとに起こります。

ところが火星の場合、惑星としてはかなりつぶれた楕円軌道を描いて公転しているため、地球が軌道上のどこで火星を追い抜くかによって、最接近時の距離が大きく変わってきます。もし、火星が最も太陽に近づいたあたりで追い抜きが起これば、火星と地球の距離は最も近づくことになります(火星の大接近)。このようなパターンの接近は15年ないし17年ごとに起こります。

逆に火星が太陽から最も離れているときに追い抜きが起こると、火星と地球の距離はそれほど小さくなりません(火星の小接近)。大接近の場合、火星と地球の距離は5600万kmほどにまでなりますが、小接近の時には1億km以上も距離があります。そのため、「接近」といっても見かけの大きさが2倍ほども違うことがあります。

2016年の接近は「大接近寄りの中接近」……「準大接近」とでもいったところで、最も接近した5月31日の火星-地球間の距離は7528万kmでした。2014年に撮影したものと比べると、見かけの大きさが大きくなっているのがハッキリ分かります。

火星の見かけの大きさの比較
火星の見かけの大きさの比較
2014年の接近時の写真を同スケールで並べてみました。視直径でいうと2014年の撮影時が15.2秒、2016年が18.6秒なので、2016年の方が2割ほど大きく見えていることになります。

これが2018年7月の大接近ともなると、視直径は24秒を超え、衝の時の木星(約45秒)の半分を優に超えてきます。今回の中接近に際し、「スーパーマーズ」などという珍妙な造語が人口に膾炙したようですが、この程度の接近はスーパーでもなんでもありません。また、最接近の日にのみスポットを当てるような宣伝の結果、少なくとも自分の観測範囲の中では、最接近の日以外は火星は見えないものだと思い込んでいる人が多かったように思います。話題を作りたいのは分からないでもないですが、変な煽り方をしないでほしいものです。

この日は、30度そこそこという火星の高度を考えればシーイングはまずまずといったところ。ちょうど正面南側(中央上)に「つ」の形に横たわるシヌス・メリディアニ(子午線の湾)とシヌス・サバエウス(サバ人の湾)が目立ちます。これらの東(右側)に見える暗部はマルガリティフェル・シヌス(真珠湾)、北東(右下)に見える暗部はマレ・アキダリウム(アキダリアの海)という名前がそれぞれつけられています。南極には雲がかかる一方、北極冠はずいぶん小さい状態。火星の北半球の季節としては秋分が近いので、これからだんだん大きくなっていくのでしょう

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