光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

北アメリカ星雲 NGC7000とペリカン星雲 IC5067, 5070(散光星雲、はくちょう座)

撮影日時 2016年6月11日
撮影機材 ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG(D60mm, f298mm)、ビクセン SXP赤道儀
使用カメラ Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3
ガイド鏡 ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)
オートガイダー ZWO ASI120MM
感度・露出時間 ISO400、300秒×18コマ
備考 IDAS/SEO LPS-P2-FFフィルター使用

はくちょう座の1等星デネブのすぐ近くにある散光星雲で、NGC7000はその姿が北アメリカ大陸に似ていることから、右側に見える「ペリカン星雲」も、その名の通りペリカンのような形をしていることから名づけられました。ちなみに、これらの星雲は実はひとつながりになっていて、手前にチリを多く含んだ暗黒星雲があって光を遮っているため、このように見えているものです。

これらの散光星雲は主にHα線という、水素に由来する波長656.28nmの光を発している一方、この波長に対する目の感度は非常に低いため、肉眼ではほとんど見えません。しかし、Hα線を感じるように改造を施したカメラであれば容易に写る……ということにガイドブック的にはなっているのですが、そこは都心の猛烈な光害の中。この領域を撮るのは、2014年5月10日、2015年9月20日に次いで3回目ですが、これまでなかなかまともに写せずにいました。

そこで今回は、あえて感度を下げて1枚当たりの露光時間を伸ばす作戦に。そもそも、デジカメの「感度」というのはあくまでも事後にシグナルをそれっぽく増幅しているだけで、センサー自体の光に対する感度が変化するわけではありません。となると、淡い対象を捉えるにはカメラの感度設定にかかわらず、センサーに当てた光の絶対量がモノを言うことになります。

ISO400まで感度を下げ、1枚当たり5分間の露出を行うことで、ようやくそれなりに星雲が浮き出てきました。この夜の最微等級は天頂付近でようやく3.0等程度でしたが、その中でこのくらい写ってくれれば、まずは上出来かと思います。

オリジナル画像

コンポジット&処理前の画像です。「ユカタン半島」や「ペリカン」の後頭部など、なんとなく赤っぽい領域があるのは分かりますが、光害に埋もれて形は判然としません。

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