光害になんて負けたりしない!東京都心でもできる天体観測

わし星雲 M16(散光星雲+散開星団、へび座)

撮影日時 2012年8月12日
撮影機材 ビクセン ED103S+レデューサーED(D103mm, f533mm)、ビクセン SXD赤道儀
使用カメラ Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3
ガイド鏡 アトム ガイドスコープ(D60mm, f540mm)
オートガイダー StarlightXpress Lodestar改
感度・露出時間 ISO800、90秒×3コマ
備考 IDAS/SEO LPS-P2-FFフィルター使用

へび座にある天体で、散光星雲と散開星団の組合せという珍しいタイプのメシエ天体です。本来、M16という番号は散開星団(NGC6611)の方に対してだけ振られたものでしたが、今では背景の散光星雲もひっくるめてM16と呼ばれています。散光星雲の部分が、羽を広げた鷲のように見えることから「わし星雲」という愛称があります。

ちなみに、冬の星座のいっかくじゅう座にも「わし星雲」と呼ばれる散光星雲(IC2177)がありますが、全くの別物。英語ではそれぞれ“Eagle nebula”(M16)と“Seagull nebula”(IC2177)なので間違える危険性はないのですが、なぜ後者を「かもめ星雲」じゃなくて「わし星雲」と呼ぶようになってしまったのか……。紛らわしいことこの上ないので、人に伝えるときは要注意です。

星雲中央には、象の鼻のように長く伸びた暗黒星雲がありますが、このあたりはガスが寄り集まってまさに恒星が新たに生まれようとしている領域です。ハッブル宇宙望遠鏡(HST)がこの領域を鮮明に捉えた写真(下図)はM16の名前ともどもすっかり有名になり、この暗黒星雲は「創造の柱」の名で知られるようになりました。

HSTが捉えた「創造の柱」
(NASA, J. Hester, and P. Scowen (Arizona State University))

都心で撮影したこの写真でも、「創造の柱」はなんとか見てとれます。長焦点鏡で思いっきりズームアップして撮ってみるのも面白そうです。

できればもっと撮影枚数を稼ぎたかったのですが、この夜は途中でオートガイダーが不調に陥り、3コマだけしか撮れませんでした。その結果、画像がかなりノイズまみれで荒れてしまっています。もっとも、これでも周囲の淡いHα領域まで写っているので、総露出時間をもっと稼げればかなり見栄えのいい姿になりそうです。

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